相続放棄申述受理証明書の取得方法と証明書が必要になるケース

投稿日
2019年11月04日
更新日
2019年11月05日
return

相続放棄申述受理証明書の役割

親が借金を残して亡くなってしまい、借金を相続しないように「相続放棄」をする、これは相続の現場ではよくあることです。

しかし、相続放棄をしたら「もう相続と一切関係ない!」と思っていませんか?

場合によっては、債権者の対応などで「相続放棄申述受理証明書」という書類が必要となるケースがありますよ。

こんにちは。相続税を専門に取り扱っている「税理士法人ファンウォール」、税理士の山中です。

「相続放棄申述受理証明書」は、自分で請求しないと手に入りません。

ここでは、相続放棄申述受理証明書がどういうものなのか、どういうときに必要になるのかなどについて、分かりやすく解説していきたいと思います。

ポイントは以下の通り。

  • 相続放棄をしたことを対外的に証明してくれる書類
  • 自分で請求しないと裁判所は送ってくれない!
  • 「債権者対応・登記申請・口座名義人の変更」時に必要!
  • 申述人本人と債権者等の利害関係人が請求できる!

では、一緒に見ていきましょう。

【見本あり】相続放棄申述受理証明書とは?

相続人が相続放棄の申述をして受理されると、家庭裁判所から以下のような「相続放棄申述受理通知書」が送られてきます。

「受理された」ということは「単に受け取った」というだけでなく「裁判所が相続放棄を認めてくれた」ということです。(あとで、相続放棄自体が有効かどうかを債権者と裁判で争うこともありますけどね・・・)。

相続放棄申述受理通知書

参考:通知書のフォーマットは裁判所によって多少異なります。

なお、通知書は受理されたときに1度だけ発行されるもので、再発行は出来ません。必要な場合はコピーをして使うようにしましょう。

通常は、この通知書があれば特に困ることはないのですが、通知書はあくまでも申述した人に対する通知のための書類にすぎません。従って、相続の手続きをする上では、単なる通知書ではダメで正式な証明書が求められることがあります。

そこで、相続放棄申述受理証明書(そうぞくほうきしんじゅつ-じゅり-しょうめいしょ)の登場ですね。相続放棄申述受理証明書は、家庭裁判所が「相続放棄の申述が受理されました」ということを対外的に証明してくれるもので、以下のような証明書です。

相続放棄申述受理証明書
参考:証明書のフォーマットは裁判所によって多少異なりますが、基本的にはA4縦書きで下半分が白紙のタイプでしょう。

書いていることは通知書とほぼ同じですね。上で通知書は再発行出来ないと書きましたが、証明書は何度でも発行出来るので、通知書を紛失した場合の代わりとしても使えますよ。

なお、「相続放棄申述受理通知書」は裁判所が送ってくれますが、「相続放棄申述受理証明書」はこちらから申請しない限り発行してくれません申請方法は後述します)。

通知書と証明書の違い

では、「相続放棄受理証明書」はどういう時に必要となるのでしょうか?

以下で見ていきましょう。

相続放棄申述受理証明書が必要になるケース

相続放棄が受理されたことを証明してくれる「相続放棄申述受理証明書」ですが、基本的には上で紹介した通知書で対応出来るので、必要な場面はかなり限られています

相続の手続き上、証明書が必要になるのは以下のようなケースです。

  • 債権者への対応
  • 相続登記や預貯金の名義変更

では、それぞれの内容を見ていきましょう。

債権者への対応

お金とキャッシュカード

相続放棄をすると、最初から相続人ではなかったものとして扱われるので民法第939条、被相続人(=亡くなった人)の資産や負債を引き継ぐことはありません。

しかし、相続放棄をしたことは申述をした本人と裁判所の人しか知りませんよね。

債権者は相続人が相続放棄をしたなんてことは知らないので、相続人であろう親族に借金の返済を迫ってくることがあります。

そこで、裁判所から送られてくる相続放棄申述受理通知書を見せることで、「私は相続放棄をしました」ということを相手に伝えることができるのです。

通常は、債権者に対して相続放棄した旨を伝えるのも通知書で事足りるのですが、たまに通知書でなく証明書の提示や提出を求めてくる債権者もいます。

証明書が必要だと言われた場合は、相続放棄申述受理証明書を取得して渡すようにしましょう。

相続登記や預貯金の名義変更

相続放棄をした本人にとって、相続放棄申述受理証明書が必要になるのは、上で書いた債権者への対応のときのみです。

しかし、相続人が複数いる場合、他の相続人も相続放棄をしているとは限りません。

相続放棄は借金が多い時だけするものとは限らないですからね(家族と疎遠で、相続争いに巻き込まれたくないからetc)。

相続放棄をしていない相続人は、通常通り相続の手続きをするのですが、「相続放棄をした人がいる」ことを証明しないと手続きが先に進まないことがあります。

まず、必ず証明書が必要になるのは、不動産の登記申請(名義変更)のときですね。

相続した不動産

相続した不動産の名義を被相続人から相続人に変更する場合、登記申請書の他に、戸籍謄本や遺産分割協議書などが必要ですが、相続人の中に相続放棄をした方がいる場合、これらの書類に加えて相続放棄申述受理証明書も提出するように言われます。

参考:不動産の名義変更は「相続放棄申述受理通知書」では出来ないので、証明書が必要です。

他にも、被相続人の預金口座名義を相続人に変更するときにも、相続放棄申述証明書を提出するように言われることがありますよ。

従って、相続放棄をした後で、他の相続人から「相続放棄申述証明書を郵送してくれ!」と言われることがあるという点は知っておきましょう(後述しますが、他の相続人は自分で取得できるので、送る義務はないですけどね・・・)。

相続放棄申述受理証明書が取得できるのは申述人と利害関係人!

相続放棄申述受理証明書は、誰でも自由に取得出来るわけではありません。

申請出来るのは以下の方です。

  • 申述人本人
  • 利害関係者(債権者や共同相続人等)

相続放棄申述受理証明書は、申述人本人が申請して取得するのが基本ですが、申述人は相続放棄をして相続と関係が無くなってしまっているので、手続きに協力してくれない可能性もありますよね。

そこで、共同相続人や債権者等の利害関係人も相続放棄申述受理証明書を取得出来るようになっているのです家事事件手続法47条、家事事件手続規則49条)

誰が相続放棄申述受理証明書を請求するのかによって、申請の方法や必要な書類等が異なるので、以下で分けて見ていきましょう。

相続放棄申述受理証明書は、相続放棄から30年しか発行できません。30年経ってから証明書が必要になることはなかなか無いと思いますが、期限があることは念のために知っておきましょう。

相続人(申述人である本人)が相続放棄申述受理証明書の申請を裁判所にする手順

家庭裁判所のイメージ画像

まずは、相続放棄の申述をした本人が相続放棄申述受理証明書を取得する方法や必要書類などについて見ていきましょう。

なお、上で説明したように、相続放棄申述受理証明書が必要な場面は限られています。必要になってから取得するのでも問題ないですよ。

【郵送でもOK】申請方法

相続放棄申述受理証明書の申請は、家庭裁判所の窓口で必要書類を提出し手数料を払えば終わりです。

証明書は裁判所で交付してもらうことも出来ますし、自宅に郵送してもらうことも出来ますよ。

なお、申請自体を郵送ですることも可能です。

窓口で申請して即日交付してもらえるかどうかは、家庭裁判所によって異なります。また、郵送申請の場合は、通常3~5日くらいで手元に届くようです。

必要書類

相続放棄申述受理証明書の申請に必要な書類等は、以下の通りです。

注:ここでは大阪家庭裁判所の例に準じてご紹介します。地域によっては異なる場合もあるので、必ず事前に自分が行く家庭裁判所に問い合わせて確認してください。

  • 相続放棄申述受理証明申請書(雛形記入説明*1
  • 申請書に押す印鑑(認印可)
  • 身分証明書(運転免許証・健康保険証等)のコピー
  • 【身分証明書と申述時の氏名・住所が異なる場合】つながりの分かる戸籍謄本・住民票等
  • 【郵送してもらう場合】返送用封筒(住所・宛名を書いたもの)および返信用の切手

*1:必要事項が書いていれば書式は自由です。また、事件番号や申述の受理年月日が分からない場合、家庭裁判所で「相続放棄・限定承認の有無の照会」をすれば教えてもらうことが出来ますよ。

申請書は、家庭裁判所から送られてくる相続放棄申述受理通知書に同封されているケースが多いです。同封されていない場合は、裁判所のホームページか裁判所で入手しましょう。

手数料

相続放棄申述受理証明書の申請に必要な手数料は1通につき150円(収入印紙)です。複数枚必要な場合は、枚数に応じた収入印紙が必要となります。

また、証明書を郵送してもらう場合は返送用の切手も必要です。基本的には証明書が4通までであれば82円、5通以上の場合は92円ですが、念のため家庭裁判所に確認することをオススメします。

利害関係者(他の相続人や債権者など)が相続放棄申述受理証明書の申請を裁判所にする手順

次に、利害関係人が証明書を取得する際の手続き方法や必要書類などについて見ていきましょう。

参考:証明書を取得できる債権者には債権回収会社などの「法人」も含まれますよ。

【郵送でもOK】申請方法

債権者等の利害関係人が相続放棄申述受理証明書を申請する場合、手続きは申述人本人が申請するのと特に違いはありません。

家庭裁判所の窓口で申請するか郵送で申請するか、ですね。

相続放棄をした本人から相続放棄申述受理通知書のコピーを入手できれば、そこに申請書を書く際に必要な情報(事件番号・受理年月日)が載っているので問題ないですが、通知書が見れない場合は、まず「相続放棄・限定承認の有無の照会」をしてから証明書の申請をすることになります。

なお、すでに相続放棄をした方が、同じ被相続人について、相続放棄した他の親族の証明書を発行することは原則出来ません。

例えば、父親が亡くなり、長男と次男が相続放棄をした場合、長男と次男は自分の証明書を取得することは出来ますが、お互いの証明書を取得することは出来ないです。

相続放棄したあとに証明書を取得できない事例

これは、相続放棄は最初から相続人ではなかったものとして扱われるので、相続人としての利害関係が無くなってしまっているからですね。

必要書類

相続放棄申述受理証明書の申請に必要な書類等は、以下の通りです。

注:こちらも大阪家庭裁判所の例に従って紹介しますね。

  • 相続放棄申述受理証明申請書(利害関係人用) *
  • 申請書に押す印鑑(認印可・法人の場合は会社代表者の職印)
  • 【個人の場合】身分証明書(運転免許証・健康保険証等)のコピー
  • 【法人の場合】資格証明書の原本
  • 利害関係疎明資料(コピー可)
  • 【郵送してもらう場合】返送用封筒(住所・宛名を書いたもの)と切手
*:家庭裁判所によっては、本人用と利害関係人用とが分かれていることもあります。分かれていても分かれていなくても、必要な事項を記入していれば申請可能です。

なお、利害関係疎明資料は、共同相続人の場合、以下のものが必要です。

  • 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本
  • 申請人の戸籍謄本

一方、債権者の場合に必要な利害関係疎明資料は以下の通り。

  • 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本
  • 債権者であることを証する資料(契約書等)
  • 被相続人の住民票(除票),戸籍附票,(契約時添付の)印鑑登録証明書等

手数料

利害関係人が、相続放棄申述受理証明書の申請に必要な書類等は、申述人本人が申請するときと同じです。

手数料は1通につき150円(収入印紙)ですね。また、証明書を郵送してもらう場合は返送用の切手も必要です。

最後に

相続放棄をした後で、たまに必要になる「相続放棄申述受理証明書」について見てきました。

相続放棄申述受理通知書と名前が似ていて紛らわしいですが、役割がそれぞれ違います。

証明書が必要になる場面は限られていますが、いざとなったときにスムーズに申請できるように、手続きを理解しておくといいでしょう。

ロゴ:フリーダイアル0120-888-226

営業時間 平日9:00-21:00/土曜9:00-18:00

メールでの
お問い合わせはこちら
トップへ戻る