内縁の妻(夫)に相続権は原則なし!遺産を相続させる5つの方法を分かりやすく解説します!

投稿日
2019年08月28日
更新日
2020年04月21日
basis

内縁の夫婦に相続権はない!

「内縁の夫が亡くなった!私は財産を相続することが出来ないの?」

山中の吹き出し写真
こんにちは。相続税を専門に取り扱っている「税理士法人ファンウォール」、税理士の山中です。

パートナーの方と籍を入れていない、いわゆる「内縁関係の夫婦」は以下のような疑問を抱いたことがないですか?

「自分が亡くなったときに、相手にきちんと財産を残してあげられるのだろうか・・・」と。

正式に結婚をしていないとはいえ、長年連れ添ったパートナーであれば自分の財産を残してあげたいと思うのは当然のことですよね。

しかし、内縁関係の場合、夫か妻が亡くなっても残された方は財産を相続する権利が無いのです!

一体どういうことなのでしょうか。

また、もし相続する権利がないのであれば、なんとかして遺産を相続させる方法はないのでしょうか?

ここでは、内縁の妻(夫)に遺産を相続させる方法について、相続専門の税理士である私が分かりやすく解説していきたいと思います。

ポイントは以下の通り。

  1. 内縁関係の夫婦は法律上の夫婦ではないので、互いに相続権なし!
  2. 内縁関係の間に生まれた子は、認知されていれば相続可能!
  3. 遺言や生命保険等で、内縁の夫婦に財産を残すことは可能!
  4. 内縁の夫婦は、相続税の計算時に不利な扱いを受ける!

では一緒に見ていきましょう。

内縁とは?婚姻と何が違うの?

結婚していないカップル

「内縁(ないえん)」とは、そもそもどういう状態をいうのでしょうか。

法律上、夫婦になるには、お互いの合意の上で役所に婚姻届を出さなければなりません民法第739条)

第七百三十九条 婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。

しかし、婚姻届を出さなくてもお互いに婚姻の意思があり、夫婦であるという実態があるのであれば、事実上ですが夫婦として認められています。

そもそも「ずっと一緒にいるのなら婚姻関係を結びなさい!」という法律があるわけではないですからね。

これが俗に言う「内縁の夫婦」です。「事実婚」ということもありますね。

参考:内縁関係に該当するには、単に付き合っているだけだったりルームシェアしているだけでは足りず、お互いに婚姻の意思を持った上で同居の期間が最低でも3年程度は必要とされています。

つまり、「実態は夫婦だけど、役所に婚姻届を提出していないので法律上は夫婦ではない」、ということです。何十年一緒に暮らしていようが、婚姻届けを出さない限りは法律上の夫婦にはなれません。

婚姻と内縁の違い
たまに、内縁関係と愛人関係を一緒だと思っている人がいますが違いますよ!愛人関係は、愛人の相手が既婚者であることを知った上で交際を続けている状態、要は不倫ですね。内縁関係は、婚姻の意思を持って共同生活を送る事実上の夫婦のことです。

婚姻届と筆記用具

婚姻しているのか内縁状態なのかの違いは、婚姻届を提出したかどうかだけで決まりますが、以下の様に法律上の夫婦と内縁関係とで同じ点・異なる点がありますよ。

◆法律上の婚姻関係と同じ点◆

  • 貞操義務(浮気や不倫はダメ!)
  • 日常家事に関する連帯責任(夫の行為には妻も責任あり!)
  • 扶養義務(お互いに支えあいましょう!)
  • 婚姻費用分担の義務(生活費は一緒に負担しましょう!)
  • 財産分与(別れる時は財産は分けましょう!)
「まだ結婚してないから・・・」といって不倫をすると、内縁の相手から慰謝料請求されますよ。

◆法律上の婚姻関係と異なる点◆

  • 夫婦で同じ名字にできない
  • 成年擬制がない(未成年でも結婚すれば一定の行為は成人として扱われること)
  • 相続権がない

内縁の夫婦には、原則として相続する権利が認められない!

悲しむ内縁関係の夫婦

内縁の夫婦も法律上の夫婦の様に相続権が認められるのか気になるところですが、残念ながら周りからどれだけ夫婦と認められていようが、内縁関係の場合は相続権がありません。

つまり、相続に関しては内縁の妻(夫)は他人と変わりないのです。

「なぜ内縁の配偶者に相続権が認められないのか」と問いに対する答えは民法にありますよ。配偶者の相続権については、民法第890条で定められています。

第八百九十条 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。(以下省略)

参考:法律上の相続人は、配偶者の他に「子(直系卑属・親(直系尊属)・兄弟姉妹」がいます。ただし、配偶者と違って順位が決められているので、必ず相続人になる訳ではありません(関連記事:法定相続人の範囲と順位、遺産割合を法定相続人別(子ども・父母・兄弟姉妹など)に解説【記事未了】)。

そして、上で書いたように、婚姻は婚姻届を提出することによって効力を生じると定められています。

つまり、内縁の妻(夫)は法律上の婚姻関係にないので、どれだけ仲良くて長い間連れ添っていたとしても、民法のいう配偶者には該当しないのです。

従って、相続人になることが出来ません。

住民票を同一世帯に移した場合、住民票上は「妻(未届)」などという表記がされることから、「相続権があるのでは?」と期待してしまいがちですが、相続権はありません!

例えば以下の様なケース。

内縁の妻は相続権がないので、兄弟が相続をすることになる例

この例では、内縁の夫婦には子供がいないですし、被相続人(=亡くなった人)の両親は既に亡くなっています。従って、被相続人の財産を相続するのは兄弟である次男となります。

夫の財産を相続できると思っていたら、ある日突然「あなたには相続権が無いから、私が財産を全部もらう!」と弟がやって来るという、ドラマのような展開が待っている・・・かもしれないですね。

逆に言うと、仲が悪くて別居生活が続いている夫婦や、離婚調停中の夫婦でも、正式に離婚をしていないのであれば法律上の婚姻関係に変わりはないので、相続権はありますよ。

相続の順位に関わらず配偶者は相続ができるので、相続に関しては「結婚していると最強!」だと言うことですね。

なお、内縁の妻が出てきたので、参考に関連する者について相続権があるかかどうかも書いておきますね。

  • 後妻・・・婚姻関係にあるので相続権有り。
  • 離婚した前の妻(前妻・先妻)・・・婚姻関係にないので相続権無し。
  • 愛人・・・婚姻関係にないので相続権無し。
前妻との間に出来た子は、離婚していても自分の子に変わりありません。親子の関係は一生続くので、相続権は当然に認められますよ。

内縁関係にある夫婦の子供(非嫡出子)は相続出来る?

未婚の夫婦とその子供

内縁の妻または夫は、お互いに相続権がないことが分かりましたが、その間に産まれた子供についてはどうでしょうか。

参考:内縁関係の子供は、一般的に「非摘出子」や「婚外子」と呼ばれ、母方の戸籍に入ります。親権も母親単独のものです。嫡出子は、婚姻関係にある夫婦から生まれた子のことを指します。

この点、内縁関係の夫婦間に出来た子供については、「被相続人との間で法律上の親子関係が成立しているかどうか」によって相続権の有無が決まりますよ。

例えば、以下の様なケースでは、内縁関係の子にも相続権が有ります。

  • 被相続人が、内縁の妻との間の子を認知している
  • 内縁の妻の連れ子との間で養子縁組をしている(参考:連れ子の相続権

認知されていない場合は、残念ながら子には父の相続権がありません。ただし、子供には認知の請求をする権利があるので、その結果認知されれば相続権が発生しますよ。

これは内縁の夫が亡くなった際の話です。母親が亡くなった場合、その子は認知の有無に関わらず母の財産を相続することができます。

なお、内縁関係の子に相続権がある場合、相続割合はどうなるのでしょうか?

この点については、以前は嫡出子と非嫡出子との間で相続分に差があり、非嫡出子は嫡出子の半分と決まっていました。

しかし、「同じ両親の子供に違いはないのに、相続割合が変わるのは違憲だ!」という判例が出たことで最高裁判所判例平成25年9月4日、平成25年に民法が改正され、今では嫡出子と非嫡出子の相続分は同じとなっています。

例えば、以下の様なケースを見てみましょう(相続財産1億2千万円・法定相続割合で分ける)。

非嫡出子がいる場合の家族関係図

この場合、法定相続割合は、嫡出子と非嫡出子で変わらないので、3人の子はそれぞれ1/3ずつ相続することになります。従って、内縁関係の子が取得する財産は4,000万円ですね。

内縁の妻(夫)に財産を残す方法を5つ紹介!

内縁の妻(夫)には、相続をする権利が原則として無いことが分かりました。

では、絶対に相手の財産を取得することは出来ないのでしょうか?

いえ、そんなことはありません!

以下で紹介する5つの方法を使えば、財産を取得することは出来ますよ。
1つずつ見ていきましょう。

①特別縁故者としての財産分与請求

お金と電卓

被相続人に相続人が誰もいない場合、被相続人と特別の縁故があった人がいるのであれば、その方に対して相続財産の一部もしくは全部が与えらえるケースがあります。

特別縁故者として財産をもらえる可能性があるのは、以下の人たちです(民法958条の3第1項)

  • 被相続人と同一生計だった人
  • 被相続人の療養看護に努めた人
  • その他被相続人と特別の縁故があった人

内縁関係でずっと連れ添ってきた方であれば、これらに当てはまるでしょうから、特別縁故者に該当する可能性が高いでしょう。

ただし、特別縁故者ならすぐに財産がもらえるという訳では有りません。

特別縁故者として財産をもらうには、家庭裁判所で相続財産管理人を選任してもらい、相続人や債権者がいないかを調べてもらう必要があります。

そして、相続人等がいないことが確定した場合、確定してから3ヶ月以内に家庭裁判所に対して「相続財産分与の申し立て」をします(自分から申し立てをしないと貰えません!)。

その結果、家庭裁判所から特別縁故者として認定されれば、そこでやっと財産をもらうことができますよ。

参考:特別縁故者もいない場合は、相続財産は国庫に帰属することになります。(関連記事:相続人がいない?相続人不存在だと財産はどうなる?手続きは?【記事未了】)

なお、これはあくまでも相続人がいない場合限定のお話です。被相続人に相続人がいる場合は、内縁の妻(夫)が特別縁故者として財産を取得することは出来ないですよ。

②借家の賃借権を援用して、住んでいた家に住み続ける!

家の権利が移るイメージ

被相続人が借家に住んでいた場合、賃借権が発生するので、相続財産として遺族が賃借権を相続をすることになります。

つまり、被相続人名義の借家に相続人が住んでいた場合、そのまま住み続けることが出来るのです(もちろん、引っ越しても構いません)。

では、被相続人と一緒に住んでいた内縁の妻(夫)はどうなるのでしょうか?

この点、上で書いたように内縁の妻(夫)には相続権は有りません。従って、家主から「相続人じゃないんだったら出て行ってください」と言われれば、出ていかなければなりません。

しかし、それではあまりにも可哀想ですよね・・・。これはもはや家主側の権利の濫用とも言えるでしょう。

そこで、内縁の妻(夫)を保護するために、被相続人の死亡後も引き続き住み続けることが出来るケースがあるのです。

もちろん住み続ける場合は内縁の妻(夫)が家賃を負担しないとダメですよ。

まず、被相続人に相続人がいない場合は、借地借家法第36条第1項により、内縁関係の者がその建物に引き続き住み続けることが出来るようになっています。

第三十六条 居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。ただし、相続人なしに死亡したことを知った後一月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは、この限りでない。

次に、被相続人に相続人がいる場合ですが、この場合は、内縁関係にあった人は相続人に承継された賃借権を援用して、引き続きその建物に住み続けることが出来るという判例が出ています最判昭和42・2・21民集21・1・155

もともと、被相続人が生きている間は、内縁の妻(夫)は被相続人の持っている賃借権を援用して住むことが出来ていたので、死後もそのまま住み続けられる様にすべき、という考えですね。

援用とは、「自分の利益のために主張する」ことです。つまり、相続人が持っている賃借権を内縁の妻(夫)が利用して「私はここに住み続ける!」と主張するということですね。

内縁の場合の賃借権

なお、そもそも相続人がいる場合、契約の当事者は貸主と相続人です。ということは、貸主と相続人が合意の上で契約を解除したり、借家権を放棄するということも考えられますよね。

そうなると、内縁の妻(夫)は結局のところその部屋を出ていかないといけないのでしょうか?

この点、貸主と相続人による合意解除は、特段の事情がない限り内縁の妻(夫)に対して対抗出来ないという判例が出ています(東京地判昭和63・4・25判時1327・51)

また、相続人による借家権の放棄についても、生活の基盤を覆すものだとして無効にした判例もありますよ(大阪地判昭和38・3・30判時338・34)

判例を見る限り、基本的に内縁関係にあった方を保護する方向のようですね。

新たに賃借人になった相続人が、家賃を払わなかったために債務不履行として解除された場合、内縁の妻を保護する法律等はいまのところ有りません。

③生前贈与をする

生前贈与のイメージ

これは相続が発生する前の話ですが、生前のうちに内縁の夫婦間で贈与をしておくという手もあります。

誰に何を贈与するかは贈与者の自由なので、内縁関係にあっても当然贈与は可能です。贈与税は年間110万円までの贈与であればかからないので、うまく活用すると税金をあまり取られずに財産を移すことも出来るでしょう。

なお、夫婦間の居住用財産の贈与については「贈与税の配偶者控除」により2,000万円まで非課税となる特例があるのですが、内縁の夫婦は法律上の婚姻関係にないので、贈与税の配偶者控除を利用することは出来ません。

生前贈与をし過ぎて、法定相続人の遺留分を侵害するような場合、遺留分減殺請求権を行使される可能性があるので、注意する様にしましょうね。

④内縁の妻(夫)に遺言で財産を分け与える

遺言

内縁関係の2人は、お互いに相続権が無いですが、被相続人が遺言を作って財産を譲る旨の記載をしていれば、婚姻関係がなくても財産を取得することが出来ます(遺言で子供の認知をするのも可能!)。

参考:遺言で財産を譲ることを「遺贈」といい、財産を取得する人を「受遺者」と言います。

遺言に書かれた内容は相続人も従わないといけないので、他の相続人が文句をいってきたとしても大丈夫です。

内縁の妻(夫)に財産を残してあげたいのであれば、遺言にしっかりと残してあげたい財産を記載する様にしましょう(死因贈与契約を結ぶのでもOK!)。

あとあと遺言の有効性などで争わないためにも公正証書遺言を作ることをオススメします。

なお、生前贈与と同様に、相続人には遺留分があるので、遺言で全ての財産を遺贈すると遺留分減殺請求権を行使される可能性があります。揉めない様に、遺留分に配慮した遺言を残す様にしましょうね。

⑤生命保険で内縁関係の相手にお金を残す!

生命保険のご案内

自分が死んだ後の生活費等のために、配偶者や家族を受取人とした生命保険に加入しておくことがよく有りますよね。

しかし、保険会社の受取人に対する審査は厳しく、親族しか受取人に指定出来ないケースが多いです。誰でも受取人になれるなんて事にすると、保険金目当ての犯罪(詐欺・殺人)などが横行してしまいますからね・・・。

一般的に、保険金の受取人に指定出来るのは「配偶者及び2親等以内の血族(子・孫・兄弟姉妹・父母・祖父母」とされています。

内縁の妻(夫)は法律上の親族ではないので、通常は生命保険の受取人になれません。申し込みをしたとしても審査落ちすることになるでしょう。

とはいっても、最近は夫婦別姓や事実婚という選択肢を選ぶカップルも増えてきており、社会的にも認知されてきています。

そこで、条件を満たせば内縁の夫婦でも相手を受取人とする生命保険に入れる保険会社も出てきているのです。

加入の条件は保険会社によって多少の差はありますが、概ね以下のような感じとなっています。

  • 戸籍上の配偶者がお互いにいない
  • 保険会社が定める期間(3~5年程度)、同居し生計を共にしている
  • 上記の条件を証明する書類(戸籍謄本・住民票・収入証明等)を提出
証明書類を提出する他にも、生活の実態があるかどうかを判断するために、保険会社の調査員が自宅まで見に来ることもある様ですよ。

なお、死亡保険金を受け取ることによって相続税が発生することもあるので、その場合は相続税の申告・納税を忘れずに。

【注意】内縁の妻(夫)がいる場合の相続税は?

相続税の申告書

内縁の妻(夫)には相続権がありません。

では、相続権の無い人が財産を取得すると相続税はどうなるのでしょうか?

以下で、法律上の配偶者と取り扱いが異なる点について見て行きましょう。

配偶者の税額軽減が適用できない!

税金が上がってしまうイメージ

配偶者は、財産を相続しても最低でも1億6千万円までは相続税がかかりません。

これは、残された配偶者の今後の生活を保証することが主な目的なのですが、特例が適用されるのは婚姻届けを提出した法律上の夫婦のみです。

従って、内縁関係の場合は配偶者の税額軽減を適用することはできません。

かなりインパクトの大きい特例なので、適用したいのであれば亡くなるまでに婚姻届けを提出しておく様にしましょうね。

相続税の配偶者控除とは?1億6千万円まで税金がかからない!ただし落とし穴あり。

小規模宅地等の特例が適用できない!

家と土地のイメージ

被相続人の住んでいた家を相続して引き続き住み続ける場合、その土地の評価額を最大で80%減額することが出来ます。

相続税の世界では有名な、「小規模宅地等の特例」ですね。

→小規模宅地等の特例とは?自宅の評価が8割減で大幅節税だが、落とし穴に要注意。【記事未了】

面積制限や要件はいくつかありますが、評価額1億円の土地でも2,000万円まで引き下げることが出来る、非常にインパクトの大きい特例なので、是非利用したいところです。

特に、配偶者については引き続き住み続ける必要もなく、その不動産を相続しさえすれば特例を適用出来る様になっているので、ありがたいですよね。

ただし、この特例を適用出来るのは、親族のみと決まっています。
内縁の妻(夫)は親族には該当せず、法律上は赤の他人です。

従って、仮に住んでいた不動産を遺言によって取得したとしても、小規模宅地等の特例を使うことは出来ません。

相続税が2割加算される!

相続または遺贈によって財産を取得した人には相続税が課税されますが、1親等の血族以外の者、つまり以下の方以外が財産を取得した場合は、相続税は2割加算されることになっています。

  • 配偶者
  • 父母

上でも書いた様に、内縁の妻(夫)は民法でいう配偶者には該当しません。

従って、特別縁故者や遺贈、生命保険などで財産を取得した場合は、通常よりも相続税を2割多めに払う必要があります。

誰が対象?相続税の2割加算制度。図解入りで丁寧に解説。

基礎控除額が増えない!

相続税は、被相続人に基礎控除を超える財産があった場合に申告・納税をしなければなりません。

基礎控除額は、以下の計算式によって算出します。

基礎控除の計算式

しかし、内縁の妻(夫)は法定相続人ではないので、「法定相続人の数×600万円」の部分にカウントされません。

従って、例えば相続人が誰もおらず、内縁の妻(夫)が特別縁故者等により財産を取得する場合は、基礎控除の額は最低の3,000万円となります。

死亡保険金の非課税枠

被相続人が契約者・被保険者で、受取人が相続人となっている生命保険契約の場合、相続人が受け取った死亡保険金には相続税が課税されます。

通常、死亡保険金には以下の非課税枠が設けられており、課税価格の計算の際に一定の額を控除することが可能です。

死亡保険金の非課税枠

しかし、内縁の妻(夫)は法定相続人ではないので、死亡保険金を取得したとしても上記の非課税枠を利用することは出来ません。

勤務先から支給される死亡退職金についても同様です。

障害者控除が受けられない!

相続人が障害者で相続発生時点で85歳未満の場合、相続税の額から以下の計算式によって算出した額を控除することが出来ます(障害者控除)。

障害者控除の計算式

しかし、障害者控除を使うことが出来るのは法定相続人に限定されているので、内縁の妻(夫)は障害者であったとしても控除を受けることは出来ません。

【参考】内縁の妻は遺族年金を受け取れる?

年金手帳とお金

内縁の妻は夫が亡くなった際に、遺族年金を受け取ることが出来るのでしょうか?

この点、遺族年金を受け取ることが出来るのは、被保険者が亡くなったときに、その被保険者に生計を維持してもらっていた配偶者です。

参考:以前は、妻が亡くなった場合に夫は遺族年金をもらうことが出来なかったのですが、平成26年4月からは夫も要件を満たせば遺族年金をもらえる様になっています。

ここでいう配偶者とは、法律上の妻に限らず内縁の妻も含まれます。国民年金法5条7項、厚生年金保険法3条2項)。従って、内縁の妻でも条件を満たす限りは遺族年金を受け取ることが出来ますよ(国民年金法37条の2第1項第1号・厚生年金保険法59条1項本文)

ただし、内縁関係の場合、受給資格を満たす内縁関係なのかどうかについて年金事務所が審査をします。審査にあたって、給与明細や住民票、葬儀の領収書・明細書などの書類を提出して、事実婚状態であることを説明しなければなりません。

なお、内縁関係の認定は相手方に配偶者がいるかどうかによって、以下の様に異なります(参考判例:大阪地判平成27年10月2日(平成25年(行ウ)256号

内縁関係の審査
本妻と事実上の離婚状態と証明するのは難しいので、弁護士等に相談した方がいいでしょう。また、本妻がいる状態で、内縁の妻が遺族年金の受給資格を得た場合、本妻は受給権がなくなるので遺族年金を受け取ることは出来ません。

参考までに、実際に内縁の妻が遺族年金を請求する際には、以下の資料が必要ですよ。

特に住民票は重要です。生前に同一世帯となっていれば、内縁関係として認められやすいでしょう。

最後に

内縁関係にある夫婦の相続権について見てきました。

法律上の夫婦ではない内縁関係の2人には、お互いに相続権がありません。しかし、財産を取得する方法があることも分かりましたね。

内縁関係にある夫婦は、様々な事情があって婚姻届を出していないでしょうし、別にそれが悪いという訳でもありません。しかし、こと相続に関して言うと、内縁関係にあると不利な状況に陥りやすいです。

生前の間にしっかりと相続の対策をしておきたいところですし、亡くなる前に話し合って婚姻届を出すのも有りかもしれないですね。法律上の夫婦になれば、相続税の計算上も配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などの各種優遇措置も受けることができますよ。

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