クレジットカード契約者が死亡した時の解約手続きと未払残高への対処法

投稿日
2019年09月20日
更新日
2019年09月20日
procedure

死亡後のクレジットカード手続き

相続が発生すると、預金の名義変更や不動産の相続登記などの遺産整理手続きに追われますよね。

そんな中、みなさんが悩みがちなものの1つに「クレジットカードの取扱い」があるのではないでしょうか。

・故人のクレカの未払い残高はどうなるのか?
・死亡後の手続きはどうすれば良いのか?
・解約手続きの前にやっておくべきことはあるのか?

などなど、気になることが多いですよね。

こんにちは、相続税を専門に取り扱っている税理士法人ファンウォール、税理士の山中です。

ここでは、クレジットカードを使っていた方が死亡した場合の手続きや注意点について、相続専門税理士である私が分かりやすく解説していきたいと思います。

今回の記事のポイントは以下の通りです。

  • クレジットカードの支払い残高は相続人が支払いをする!
  • 口座凍結前であれば、死亡後も通常通り口座振替される!
  • 解約手続きは、カード裏面に記載の連絡先へ速やかに!
  • 契約者が死亡すると、本人のカードだけでなく家族カードも使えなくなる!

では、一緒に見ていきましょう。

クレジットカード契約者が亡くなった時に発生すること

ここでは、クレジットカードの契約者が亡くなったらどういうことが起きるのかについて、見ていきましょう。

クレジットカード契約者の未払残高は相続人が支払をするのが原則!

クレジットカードと領収書

相続が発生すると、相続人は被相続人(=亡くなった人)の持っていた財産を引き継ぐことになります。

ただし、相続の際にはお金や不動産、株式等のプラスの財産だけでなく、借金や債務などの負の財産も同時に引き継がなければなりません民法第896条

クレジットカードでの支払は金銭債務なので、相続の対象です。
従って、残された相続人は被相続人が生前に使用したクレジットカードの支払残額について、支払をする義務があるという訳ですね。

なお、通常は相続発生後に残額の一括支払いを求められますが、分割払いが認められることもあるので、詳しくはカード会社に問い合わせてみてください。

クレカの未払残高が多額で相続財産で支払えない場合は、相続放棄をするのもアリです。相続放棄をすると借金を負担しなくて済みますよ(ただし、預金や不動産などのプラスの財産も相続出来ないので、要注意!)。

本人のカード&家族カードは使えなくなる!

本人カードと家族カード

上で書いたように、クレジットカードの契約者が亡くなった場合、クレジットカードの未払残高は債務として相続しますが、クレジットカード自体を相続する訳ではありません。

従って、遺族の方が亡くなった方のクレジットカードをそのまま使い続けることは出来ません。

まれに、親族が死亡者本人のクレカをそのまま使い続けている場合がありますが、当然規約違反なのでダメですよ。

また、家族カードを発行して家族みんなで使っているケースもあるでしょうが、契約者本人が亡くなってしまった場合は家族カードも使えなくなります。

使っていたクレジットカード会社のカードを引き続き利用したい場合は、面倒ですが再度審査を受けてカードを発行してもらうようにしましょうね。

注意:使用していたクレジットカードに紐付いて発行していたETCカードも使えなくなりますよ。
クレジットカードの所有権はカード会社にあり、「契約者はカードを借りている」という形になっています。借り物に過ぎないので、死亡により契約が終了すると返さなければなりません(実際にはハサミ等で切って破棄することになります)。

クレジットカードの利用でもらったポイントは基本的に相続出来ない!

3枚のクレジットカード

クレジットカードを利用するメリットの一つに、利用に応じてポイントが貯まるという点がありますよね。

一般的に、買い物金額の0.5~1%程度がポイントとして貯まり、あとで1ポイント=1円として買い物に利用できたりプレゼントと交換できたりします。たくさん貯めている方も多いでしょう。

しかし、残念ながら基本的にクレジットカードのポイントを相続することは出来ません。

これは、各クレジットカード会社の規約で、契約者の死亡と同時にポイントが失効する旨の規定されているからです。

未払残高は相続の対象なのに、ポイントは相続出来ない・・・。
とても残念な感じがしますが規約上そうなっているので仕方ないですね・・・。

参考までにセゾンカードの永久不滅ポイント利用規約(14条)を見てみましょう。

本会員が次の各号のいずれかに該当した場合、本会員は保有するポイント並びに商品との交換及び合算に関する一切の資格を喪失するものとします。
(1)退会、カードの有効期間満了、会員資格の取り消し等本カードの会員資格を喪失した場合
(2)死亡した場合

「死亡した場合」にポイント自体の権利や商品への交換に関する一切の資格を喪失すると書いていますね。

なお、以下のクレジットカード会社のように、家族間でポイントを移行できるケースもあるので、移行可能な場合は生前のうちにポイントを移しておくと良いでしょう。

ANAやJALなどでもらったマイルは相続出来る?

飛行機のマイル・ポイント

飛行機に頻繁に乗る人であれば、必ずと言っていいほど貯めているマイル

マイルが貯まれば、マイル数に応じて航空券のチケットと交換出来たり、シートのグレードアップなどが出来るので嬉しいですよね。

マイルは飛行機に乗らなくても、航空会社が発行しているクレジットカードであれば、普段の買い物などでも貯まります。

では、クレジットカードを使って貯まったマイルは、ポイントと同じように契約者の死亡によって失効してしまうのでしょうか?

この点、マイルについては相続人が相続することが出来るようになっているケースがあります!

例として、ANA(全日空)のANAマイレージクラブの会員規約を見てみましょう。

21条 会員の死亡 
会員が死亡した場合、法定相続人は、会員が取得していたマイルを、所要の手続きが完了した時点で有効な範囲で承継することができます。その際、当該法定相続人は、故人である会員のマイルの相続権を有することを証明する書類を弊社に会員の死亡後6カ月以内に提示する必要があります。相続の申し出が前記の期間内になされない場合は、当該会員の積算マイルはすべて取り消されます。

つまり、相続発生後6ヶ月以内に手続きをすれば、マイルを相続することが出来るというのです。これはお得ですね。

また、JAL(日本航空)については、ANAと違って家族会員(JALファミリークラブ会員)だった場合という条件付きですが、規約によってマイルの相続が出来るようになっています。

14条 合算不可 積算されたマイルを会員間で共有、合算および譲渡することはできません。ただしJALFCおよびJALカード家族プログラム登録会員は、そのプログラムの特典として、特典の引き換え時に限り、登録している家族会員間で積算マイルを合算することができます。また会員の死亡時は法定相続人は所定の手続きにより会員のマイル口座に残る有効なマイルを相続する事が可能です。

一般的なクレジットカードでポイントの相続が出来ないという中で、この取扱いは嬉しいですね。

なお、その他の航空会社については、各自規約等で調べるようにしてくださいね。
傾向としては、アメリカ系の航空会社は相続出来ないことが多いようです。

クレジットカードの契約者本人が死亡した場合の解約手続き

クレジットカードと携帯電話

クレジットカードの契約者が死亡した場合、まず最初にしないといけないのは、利用していたクレジットカード会社に連絡をすることです。

契約者がリボルビング払いをしていたり、キャッシングをしていたとなると、早く連絡しないと支払いが膨らむor無駄に金利分を支払続けることになるので、後回しにせずに早く連絡しましょうね。

カード会社への連絡先は、クレジットカードの裏に載っているので見ればすぐに分かりますよ。

クレジットカードの裏面

契約者が死亡してもクレジットカード会社はその事実を知りません。

従って、普通に請求書はきますし、年会費がかかるクレジットカードの場合はその後も年会費の請求をされることになります。

クレジットカード会社に契約者が死亡した旨の連絡をすると、カードの利用を停止することが出来るので、年会費の請求も止まりますよ。

具体的な手続きとしてはとても簡単です。
クレジットカード会社に電話して「契約者が死亡したので解約したい」旨を伝えればOK。

クレジットカード会社にもよりますが、基本的に亡くなった方の配偶者や親、子、兄弟姉妹くらいまでの方が連絡する必要があります。

ただし、近親者がいないというケースもあるので、その場合はとりあえず連絡して支持を仰いでください。

電話連絡

参考までに、JCBカードでは解約手続きをする際に出来る人の範囲を以下のようにしています(JCB「よくある質問」より。)

法定相続人、受遺者、遺言執行者、相続人の法定代理人(親権者・成年後見人等)または相続手続きを受任された弁護士、司法書士など

基本的に、電話をすると以下のような内容を聞かれるでしょうから、予め整理しておきましょう。

◆死亡した契約者に関する情報◆

  • 契約者の氏名
  • 住所
  • 生年月日
  • 銀行口座
  • 死亡日
  • カード番号

◆連絡した人に関する情報◆

  • 契約者の関係
  • 氏名
  • 連絡先

参考:クレジットカードが手元にない場合は、解約手続きとは別に「紛失手続き」も必要となるケースがあります。

解約手続き連絡後の処理【死亡直前にクレカの利用がある場合】

クレジットカードとカレンダー

連絡した後の手続きについては死亡直前にクレジットカードの利用があったかどうかによって異なります。

まず、契約者が死亡直前にクレジットカードを利用していた場合は、その利用代金を相続人が支払わなければなりません。上で書いたように、相続人は利用代金という債務を相続していますからね。

既に銀行口座が凍結されている場合は、クレジットカードの代金は口座振替出来ないので、相続人の元に手続きの依頼書等が届きます。依頼書等に基づいて支払いを行って下さいね。

手続きが遅れると、遅延損害金が請求される場合もあるのでなるべく早めに連絡をして処理をしておきましょう。

「銀行に連絡して引き落とし口座が凍結すれば手続きは終わり」と考えている人もたまにいますが、クレジットカード会社での手続きは別途必要という点を忘れずに!

一方で、死亡直前の利用代金が引き落としされる時点で銀行口座が凍結されていない場合は、通常通り支払日に引き落としされますよ。

ただ、その口座の預金残高が少ない場合は引き落としが完了しません。

家族で使用しているサービス(電気・ガス・水道・インターネットプロバイダ)の料金も被相続人がカードで支払っていた場合、支払いが滞るとサービスを止められる可能性もあるので注意が必要です

通常1回程度支払いが遅延したからと言ってサービスを止められる可能性は少ないですけどね。特に、ライフライン系の猶予期間は長いです。

なお、改正相続法により、2019年7月1日からは「故人の預貯金の仮払制度」が始まっています。

銀行口座が凍結されていないからと言ってカード会社への連絡を後回しにするのではなく、早め早めに連絡を入れて相続人が”故人の預貯金の仮払制度”などを利用して支払いを済ませた方がスムーズですよ。

解約手続き連絡後の処理【死亡直前にクレカの利用が無い場合】

次に、契約者が死亡直前に特にカードを利用していなかった場合。
この場合は、本人が解約するときと同様にスムーズに解約手続きが進み、電話だけで解約手続きが終わることもあります。

解約書類が郵送されてきて、必要事項を記入して返送しなければならないケースもあり、取扱いはクレジットカード会社によって異なるので、まずは連絡するようにしましょうね。

いずれの場合でも、解約手続きが済んだらクレジットカードをハサミ等で切って処分しましょう。

参考:三井住友カード、三菱UFJニコス、AMEX、マスターカード、JCBカード、セゾンカードなど様々なクレジットカード会社がありますが、電話連絡をして解約手続きをするという流れは基本的にどこでも同じです。

クレジットカードの存在を相続人が知らない場合の対処法

クレジットカードと通帳と電卓

通常は亡くなった方の財布や通帳を見れば、故人がどのクレジットカードを使っていたのか・持っていたかが分かります。

財布の中にはクレジットカードが入っているでしょうし、クレジットカードを使っていればいずれかの通帳から利用額の引き落としがされているはずですからね。

また、遺言書やエンディングノート等に預金口座のことを詳しく書いていてくれれば、その口座を見れば大体のクレジットカードについては把握できるでしょう。

しかし、中には遺言書等に記載がないために預金口座が把握出来ず、クレジットカードも見当たらないというケースもあります。特に、年会費のないクレジットカードの場合は把握が難しいかもしれません。

使われていないクレカがある場合、気づかれずにずっと放置されて、カードの更新時期近くに郵便物が届いて初めて気づくということになるでしょうね・・・。

気づいたらすぐにカード会社に連絡して解約するようにしましょう。

通帳の中身を見る女性

次に、毎月支払いの契約がある場合、口座残高が有るのであれば、今までどおり口座引き落としが継続的に行われます。

クレジットカードと口座の存在を相続人が知らなかった場合、口座残高が足りなくなるまで引き落としされ続け、口座残高が無くなった時点でクレジットカード会社から電話や郵便による連絡が入り、そこで気づくことになるでしょうね。

気づくまではひたすら料金が引き落としされ続けるので、もったいない以外の何物でもないですね・・・。

そこで利用したいのが、以下のような信用情報機関からの情報の開示です。信用情報機関はクレジットカード契約者の情報を把握しているので、どのようなクレジットカードを持っているのかなどを教えてもらう事ができます。

ただし、情報開示を求める際には契約者との関係が分かる戸籍謄本や本人確認書類などが必要となります。詳しくは一度問い合わせてみるといいでしょう。

エンディングノートを書く場合は、残された家族が困らないように、契約しているクレジットカードの情報についても記載しておくようにしたいですね。

【補足】旅行時の不慮の事故はクレジットカードに付帯している保険が使える!

パスポートとクレジットカード

クレジットカードには、自動で保険が付帯されることが有ることを知っていますか?

ここで言う保険とは、「旅行傷害保険」のことです。

旅行傷害保険は、日常の病気や交通事故・怪我などで死亡しても補償されないのですが、旅行中の病気や怪我が原因で死亡・後遺障害となった場合は所定の保険金が遺族に支払われます。

参考:年会費がかかっているクレジットカードには基本的に付帯されていますが、年会費無料のクレジットカードに付帯しているケースは稀です。
自動付帯のクレジットカードであれば問題ないですが、中には利用付帯(旅行費用等をクレジットカードで支払った場合のみ保険が適用される)のケースもあるので、保険金支払の条件は前もって知っておくといいでしょう。

旅行傷害保険は、仮に条件を満たしていても、請求しないと保険金が支払われません。
死亡原因が条件を満たすのであれば、忘れずに各クレジットカード会社の事故受付デスクに連絡するようにしましょうね。

クレカから支払われる保険金は相続人の一時所得になる

なお、保険契約者・保険料負担者・被保険者が被相続人の場合、相続人が受け取った死亡保険金はみなし相続財産として相続税が課税されるのですが、クレジットカードに付帯している保険は少し異なります。

というのも、クレジットカードに付帯している保険は、被保険者は被相続人となっているのですが、保険契約者と保険料支払者はカード会社となっているのです。

このような契約形態の保険から支払われた保険金を受け取った場合、受取人に課税されるのは相続税ではなく一時所得として所得税が課税されることになります。

一般的な生命保険の相続税課税
旅行傷害保険の課税関係

【具体例あり】生命保険金(死亡保険金)に相続税はかかるの?それとも非課税?【記事未了】

詳細は各社クレジットカードの保険約款に記載がされているので、保険金を受け取った場合は、どのような課税がされるのかを調べるようにしてくださいね。

パッケージツアーで起きた事故などで、相続人に保証金が支払われる場合、受け取った金銭は損害賠償金という扱いになるので、相続税も所得税も非課税です。

まとめ

亡くなった人がクレジットカードを持っていた場合の手続きや支払残高について解説してきました。

被相続人がクレジットカードを使っていて、支払を済ます前に亡くなってしまった場合、残高の支払い義務は相続人にあります。

銀行口座が凍結される前であれば、通常どおりの口座引き落としによって被相続人の口座から支払がされますが、凍結した後はクレジットカード会社とやり取りをしなければなりません。

引き落とし口座を凍結・解約すればそれで終わり、と考えている人もいるようですが、クレジットカードの解約手続きもしっかりとするようにしましょうね。

ロゴ:フリーダイアル0120-888-226

営業時間 平日9:00-21:00/土曜9:00-18:00

メールでの
お問い合わせはこちら
トップへ戻る