離婚の時の財産分与や慰謝料に税金はかかるの?贈与税や所得税など基本は非課税だが例外あり!

投稿日
2020年05月19日
更新日
2020年05月19日
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離婚にまつわる税金問題

「長年連れ添った妻と離婚することになったけど、財産分与とか慰謝料に税金はかかるの?」

こんにちは。相続税・贈与税を専門に取り扱っている税理士法人ファンウォール、税理士の山中です。

結婚生活は円満に過ごしたいものですが、中には離婚という結末を迎える夫婦もいますよね。

平成29年度の「人口動態統計(確定数)の概況」によると、平成29年の離婚率は0.17%となっています。1,000人のうち1.7人が離婚しているということですね。

参考:元データの単純な婚姻件数を離婚件数で割ると3組に1組が離婚しているように見えますが、結婚数が調査年に結婚した数なのに対して離婚数は過去に結婚したカップル全てが対象となっているので、この考え方はふさわしくありません。

この離婚率が高いか低いかはさておき、離婚には財産分与や慰謝料などのお金のやり取りがつきものです。

お互い納得の上で揉めることなく離婚する場合でも財産分与はしますし、相手の不倫等が原因で離婚する場合は慰謝料を請求されることもあるでしょう。

ここで疑問に思うことはありませんか?

そう、「財産分与や慰謝料に対して税金は課税されるの?」という点です。

夫婦生活で築き上げた財産を離婚時に分けたからといって、税金を取られてしまってはたまったもんじゃないですよね・・・。

そこでこの記事では、離婚時の財産分与や慰謝料などに税金がかかるのかについて、相続・贈与専門の税理士である私が分かりやすく解説していきますね。

ポイントは以下の通りです。

  • 財産分与・慰謝料・養育費には、贈与税も所得税も基本かからない!
  • 財産分与や慰謝料の金額が大きすぎると贈与税が課税されるかも!
  • 財産分与や慰謝料で不動産を渡すと、譲渡所得税の対象になる可能性あり!
  • 不動産を受け取った人は、不動産取得税や登録免許税がかかる!

では、一緒に見ていきましょう。

離婚の原因に関係なく、離婚によってお金や不動産等のやりとりをする場合は、「離婚協議書」を作成しておくことをオススメします。後々税金で問題になったときの説明資料として役に立ちますよ。

離婚時に相手に金銭等を渡す原因にはどういうものがある?

離婚をすると財産分与等によって相手に金銭等を渡すことになりますが、財産を渡す原因としては、主に以下の3つがあります。

  • 財産分与
  • 慰謝料
  • 養育費

以下で一つずつ見ていきましょう。

財産分与

財産分与

財産分与は読んで字のごとく、「財産を分け与えること」という意味ですね。
基本的に結婚をしてから築き上げた財産は夫婦のお互いの協力によって手に入ったものと考えます。

夫がサラリーマンで妻が専業主婦の場合など、

「俺が働いて得たお金だから俺のものだ!」

と思う方もいるかもしれません。しかし、妻の協力があったからこそ夫は毎日働くことが出来たわけですよね。(というか基本的にはそう考えます)。

そこで、離婚をする場合は、基本的に婚姻期間中に得た財産を夫婦で半分程度に分けることになります(貢献度に偏りがある場合は、割合が異なるケースあり)。

参考:結婚前から持っていた財産は財産分与の対象外なので、相手に渡す必要はありません。

慰謝料

慰謝料

次に慰謝料ですが、これは主にDV(家庭内暴力)や不倫等が原因で離婚をすることになった際に、相手からもらうお金のことですね。

精神や身体が傷ついたので、その分を慰謝料として請求するわけです。従って、生活のすれ違いや性格の不一致等で離婚する場合は、慰謝料は発生しません。

なお、離婚の際の慰謝料は、おおよそ100万円〜300万円程度が相場と言われているようですよ。(婚姻期間や離婚原因等によってマチマチです)。

養育費

養育費

最後に養育費ですね。これは、子供がいる夫婦が離婚する際に”子供を引き取った側”に対して支払うものです。

親の離婚に関して子供には責任がないですからね。
「離婚しても子供の養育費は2人で分担しましょう」ということです。

養育費の支払い方法や金額については夫婦間で自由に定めることができるので、収入等に応じて話し合って決めましょう。

なお、養育費は基本的に子供が成人するまで支払い続けることが多いです。ただし、子供が成人するまでに親権者が再婚し、子供が再婚相手の養子になるような場合は養育費の支払いがその時点で終わるケースもあるようですよ。

一般的に、これらのものは男性から女性に対して渡すイメージがありますが、離婚の原因や収入の大小等によっては女性から男性に対して渡すケースもあります。

財産分与をした場合の課税関係

ここでは離婚時に財産分与をした場合の税金関係について、解説していきますね。

財産分与をしても原則「贈与税」はかからない!

税金のイメージ

財産分与は、夫婦が婚姻生活中に協力して獲得した財産を2人で分けるに過ぎません。

従って、財産分与は贈与ではないので基本的に贈与税が課税されることはないです相続税法基本通達9-8

ただし、財産分与であっても贈与税の課税されるケースが2つあるので、注意が必要です。

  • ①分与した財産が多すぎる場合
  • ②偽装離婚の場合

①財産分与の額が多すぎる場合は「贈与税」が課税される!

まず、分与した財産が多すぎる場合。

財産分与は、基本的に結婚生活が始まってから終わるまでに2人で築き上げた財産を半分に分けますが、お互いの貢献度によって財産の取得割合は変わります。

贈与税が課税されるのは、この割合を正当な理由なく大きく動かした場合ですね。

例えば、特に理由がないのに夫から妻に9割の財産を分与するといったようなケース。この場合は、9割をあげることに理由がなければ貰いすぎということになり、贈与税が課税されますよ。

②贈与税や相続税を免れるために離婚した場合は「贈与税」が課税される!

次に偽装離婚の場合ですね。

例えば、「普通に夫婦間で贈与をすると贈与税が課税されるので、一旦離婚して財産分与として財産を渡してしまおう!」というようなケース。

税金を逃れるために離婚すると、あとで税務署から「偽装離婚だ!」とみなされて、贈与税が課税されてしまうことがありますよ。

税務署は資産家の財産の動きに目を光らせているので、こういった財産分与をするとすぐにバレることになるでしょうけどね・・・。

財産分与をしても原則「所得税」も課税されない!

税金とお金

上で、「財産分与は贈与ではない!」と書きました。

では、税金を考える上での財産分与とは一体なんなのでしょうか?

答えは「譲渡」です所得税法基本通達33-1の4

民法第768条《財産分与》(同法第749条及び第771条において準用する場合を含む。)の規定による財産の分与として資産の移転があった場合には、その分与をした者は、その分与をした時においてその時の価額により当該資産を譲渡したこととなる。(昭50直資3-11、直所3-19追加、平18課資3-6、課個2-11、課審6-5改正)

あくまでも法律上の解釈の問題なので有償無償は問いません。財産分与をすると、相手に時価で資産を譲渡したことになります。

財産分与の場合、お金を相手方に渡すのが一般的なので、例えば1,000万円を財産分与によって相手に渡した場合、「現金1,000万円を1,000万円で譲渡した」と考えます。

1,000万円のものを1,000万円で譲渡したのだから、そこに損得はないですよね。
従って、財産分与でお金を渡しても通常は所得税(&住民税)は課税されません。

不動産などを売却して、そのお金を財産分与に充てる場合は、不動産等を売却したことに対して所得税が課税されることになります。これは普通の話ですね。

【要注意】不動産や株などを財産分与時に渡すと譲渡所得税が課税されるかも!?

家を譲渡するときのイメージ

基本的に財産分与の際は現金等で分けることが多いですが、中には、夫婦で住んでいた夫名義のマイホームを財産分与時に妻に渡す、といったこともあるでしょう。

この場合は注意が必要です!

上で、「財産分与は相手方に時価で財産を譲渡したものと考える」と書きましたよね。
現金を渡した場合は、渡したお金と時価は同じ価値なので特に税金は発生しません。

しかし、財産分与でお金ではなく不動産や株そのものを渡す場合は例外です!

なぜなら、不動産や株の時価は常に動いており買った時の金額と同じとは限らないからですね。

参考:30万円を超える宝石や美術品などを渡す場合も課税の対象となりますよ(No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法|国税庁)。
財産分与で不動産を渡す

例えば、マイホームを10年前に5,000万円で買ったとしましょう。離婚する際に財産分与によってこのマイホームを相手に渡すことになりました。財産分与時のマイホームの時価は6,000万円とします。

この場合、買った時の金額よりも時価の方が高いので、渡した側は差額の1,000万円に対して譲渡所得税が課税されることになります。

譲渡所得税の課税の有無
参考:建物は取得後年数に応じて価値が減少していくので、仮に取得した金額と時価が同額だったとしても、所得が発生することがあります。

財産分与でマイホームを相手に渡しただけで売った訳でもないですし、お金をもらっている訳でもないので、税金が課税されるのは一般の感覚とズレている感じもしますよね。

しかし、税金の世界ではそのように考えています。
知らずに不動産を渡してしまうと思わぬ税金が発生することもあるので、注意をしましょうね。

譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間によって異なります。所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得として39%(所得税30%・住民税9%)、5年超の場合は長期譲渡所得として20%(所得税15%・住民税5%)が適用されますよ。(復興所得税も別途かかります)。

ただし、マイホームを財産分与によって渡した場合はマイホームを売った際の特例が使えるので、譲渡益が3,000万円以下であれば最終的に税金が課税されることはありません(確定申告が必要)。

従って、よほどのことがない限り財産分与で所得税が課税されることはないでしょうね。

また、仮に譲渡所得が発生した場合でも「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」の条件を満たしていれば、所得金額6000万円までは税率10%で処理可能ですよ。

なお、マイホームの特例は親子や夫婦などの特別な関係にある者同士では使うことが出来ません。特例を使うのであれば、離婚が正式に成立したあとでマイホームを引き渡す必要がある点も忘れずに。

参考:財産分与で取得した財産を将来売却等する場合、取得費は財産分与時の時価を使うことになります(所得税法基本通達38-6)。
不動産を財産分与で渡した場合、不動産取得税や登録免許税がかかりますよ。受け取った人には毎年固定資産税も課税されます。

【参考】財産分与は錯誤無効の主張ができるの?

AかB

上で書いたように、不動産等を財産分与すると”時価”で譲渡したものとして譲渡所得税が課税されます。しかし、財産分与時に税金が課税されることを知らなかった人もいますよね。

その人はきっとこう思うでしょう。

「不動産をあげたのに、なんであげた側の自分に税金がかかるんだ!そんなことなら初めからあげなかったのに・・・。」と。

民法上は、錯誤(民法第95条)というものが認められていて、重要な事実を知らずに契約等をした場合は錯誤として無効となる旨の規定がされています。

では、自分に税金が課税されるとは知らずに行った財産分与は、あとで無効だと主張することは出来るのでしょうか?

この点、基本的には無効とはならないでしょう。
税金がかかることを知らないのは、自分の無知が原因ですからね。

しかし、財産分与をした人が自分に譲渡所得税が課税されることを知らず、その旨を黙示的に表示していたケースで、財産分与が錯誤無効となる可能性を認めた判例もあります最高裁判決平成元年9月14日(判例時報1336号93頁)

従って、もし本当に税金がかかることを知らずに不動産を財産分与として渡してしまったのであれば、弁護士等に依頼して錯誤無効を主張していくことも可能かもしれません。(ただ、上記判例は極めて珍しい判決のようですが・・・)。

離婚時の慰謝料には、税金が原則かからない!

離婚に伴う慰謝料を渡すイメージ

例えば、夫が不倫をしていることが妻にバレて、離婚をする際に慰謝料の請求をされた場合、夫は慰謝料を払うことになるでしょう。

この場合、慰謝料として支払う金銭は、贈与ではなく損害賠償として支払うものなので慰謝料を受け取った人に贈与税は課税されません。

そこで、税金が課税されるとすれば所得税(&住民税)なのですが、原則として慰謝料をもらっても所得税も課税されないことになっています。

なぜなら、損害賠償金は所得税法上”非課税”となっているからです所得税法9条1項17号、所得税法施行令第30条)

慰謝料は、結婚生活中に起きたDVや不倫等によって負った心身に加えられた損害に対して受け取るものなので、損害賠償金の一種です。

従って、慰謝料を受け取っても基本的に税金が課税されることはありません(名目が示談金等であっても同様です)。

慰謝料と税金
慰謝料をもらったら児童扶養手当が減額・支給停止されるの?と心配に思う方もいるかもしれないですが、慰謝料は基本非課税なのでそれだけで減額等されるといったことはないですよ。

ただし、税金が課税されないのはあくまでも社会通念上妥当と認められる範囲内の金額です。妥当な範囲を超えた慰謝料を受け取った場合は、贈与とみなされて贈与税が課税されますよ。

「社会通念上妥当な金額っていくらなの?」と疑問に思うでしょうが、残念ながら明確な金額は決まっていないので、「常識の範囲内で!」ということしかできません。

離婚の原因や年収等から妥当な金額を導き出す必要があります。

例えば、年収500万円の人から慰謝料として200万円をもらうのはアリかもしれないですが、5,000万円を受け取るのは常識から考えて多すぎですよね。

もらった慰謝料が多すぎる場合は、常識の金額を超える部分に対して贈与税が課税されることになります。

また、慰謝料として現金ではなく不動産や株式等を渡す方もいるでしょうが、この場合は上で紹介した財産分与と同様の扱いを受けることになりますよ。

つまり、財産を貰った人ではなく渡した人に対して譲渡所得税が課税されるということですね。

養育費をもらっても税金は原則かからない!

夫婦と子供

離婚をしても、親には子供を育てる義務があります。
そこで、親権を取得した親に対して離婚をしてから毎月養育費を支払うことがあります。

この養育費を受け取った場合、税金はかかるのでしょうか?

この点、扶養義務者の間で、扶養義務を果たすために支給する金品については所得税は課税されないことになっていますし、子供の生活費や教育費に充てるために贈与した金品については、贈与税が課税されないことになっています。(参考:所得税法第9条第15号、No.4405 贈与税がかからない場合|国税庁)。

従って、離婚後養育費を受け取っても税金は特にかからないです。

ただし、将来の養育費を一括で受け取ったような場合、その時点で必要な養育費の金額を超えているとみなされて、贈与税の課税対象となる可能性があるので注意してくださいね。

以前、野球選手のダルビッシュ有さんとモデルの紗栄子さんとの離婚問題時に、慰謝料は0円で養育費を毎月200万円弱もらい続ける事になった、と話題になりましたよね。

「高額な慰謝料をもらうと贈与税が課税されるために、継続的に養育費をもらって税金がかからないようにした」のかどうかは分からないですが、そういう論点もあるということですね。

【参考】離婚前に不動産を贈与すれば配偶者控除が受けられる!

上で書いたように、離婚成立後に財産分与でマイホームを渡すと譲渡所得税は課税されるけど、マイホームの譲渡の特例を使えば3,000万円までは所得税が課税されません。

しかし、離婚をした後も手続きの為にやりとりをしないといけないので、嫌な方もいるでしょう。

そこで、婚姻期間が20年以上ある夫婦の離婚に限られますが、離婚成立前にマイホームを贈与してしまうという手もありますよ。

実は損!?婚姻期間が20年以上ある夫婦の住居の贈与は慎重に!〜贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)〜

婚姻期間が20年以上ある夫婦は、居住用不動産を贈与した場合に2,000万円の配偶者控除を受けることができます。基礎控除の110万円も使うことができるので、合計で2,110万円分まで無税で相手に贈与することができるのです。

贈与税の配偶者控除

贈与で不動産をもらった人は、翌年の2月1日から3月15日までの間に贈与税の確定申告が必要となるので忘れずに!

離婚成立前にややこしい問題を解決しておけば、離婚後に手続きで惑わされることも無くなるので、財産を渡す方法の1つとして考えてみるのもいいでしょう。

離婚成立前後で使う特例が違う

まとめ〜課税関係の一覧表あり〜

離婚をした際の財産分与や慰謝料、養育費などに対して税金が課税されるのかどうかについて見てきました。

渡すお金が常識の範囲内の額であれば、基本的にどの場合でも税金は課税されないですが、不動産や株等を渡す場合は譲渡所得税が課税されることがあるので注意が必要ですね。

もし、揉める可能性があるのであれば弁護士さんの利用も検討してみると良いでしょう。

最後に、財産分与等の課税関係について一覧表にまとめておきますね。

項目支払側受取側
財産分与(金銭)課税なし原則課税なし(多額・税金逃れの場合は贈与税)
財産分与(金銭以外)譲渡所得税不動産取得税、登録免許税、固定資産税など
慰謝料(金銭)課税なし原則課税なし(多額の場合は贈与税)
慰謝料(金銭以外)譲渡所得税不動産取得税、登録免許税、固定資産税など
養育費課税なし原則課税なし。将来の分を一括で貰った場合などは贈与税

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