金・純金・金地金は相続税の節税対策になる?相続税の評価方法と金を使った相続対策事例

投稿日
2019年09月19日
更新日
2019年09月19日
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金・純金・金地金は相続税の節税対策にならない

「将来相続税がたくさんかかりそうでやばい!金・地金とかを買えば相続税対策になるの?」
「相続財産に金地金があった。売却したときの税金計算はどうすればいい?」

こんにちは、相続税を専門に取り扱っている税理士法人ファンウォール、税理士の山中です。

金や地金、純金なども立派な財産なので被相続人(=亡くなった人)が持っていた場合は、相続税の課税対象となります。

参考:プラチナ(白金)や金貨なども同様です。

そして、「金・地金などは相続税の対策に使える!」という話を耳にしたことのある方もいるでしょう。

結論を先に書いておくと、金・地金等は相続税対策としては特段有効ではありません。

しかし、「相続税対策」ではなく「相続(争族)対策」としては有効です。
一体どういうことなのでしょうか?

ここでは、”金・地金の相続税評価の方法”や”金・地金等を使った相続税の対策事例”について、相続税専門税理士である私が分かりやすく解説していきますね。

ポイントは以下の通り。

  • 相続発生日時点の業者買取価格で評価!
  • 金の仏像や仏壇などは相続税対策には使えない!
  • 金は固定資産税のような税金がかからないし、遺産分割も簡単!
  • 相続税申告時に金を隠してもすぐにバレる!
相続した金地金を売却した時の税金計算方法についても触れているので、そちらも参考にしてください。

では、一緒に見ていきましょう。

金・純金・金地金などの相続税評価方法

金・地金等の相続税評価は簡単です。

金・地金は、上場株式のように市場で活発に取引がされているので、取引相場があります。

そこで、被相続人の死亡日の取引相場(業者買取価格)が評価額となるのです。

金・地金の相続税評価

例えば、相続財産の中に500gの金(インゴット)があったとしましょう。
1g当たりの業者買取価格が5,000円だった場合、相続税評価額は250万円(=500g×5,000円)となります。

評価方法自体はとても簡単ですね。

なお、相続税の額は金・地金だけでなく、他の財産も全て足した総額に対して課税されます。従って、金・地金の相続税評価額を算出しただけでは、相続税がいくらかかるかということは分かりません。

そもそも、遺産総額が基礎控除の範囲内であれば相続税はかからないですよ。

実際の相続税の計算をしたい場合は、「遺産にかかる相続税の税率と計算方法を分かりやすく解説!【記事未了】」を参考にしてみてください。

業者買取価格はどうやって調べる?

金・地金等の相続税評価は、相続発生時点の業者買取価格ということが分かりました。では、業者買取価格というのはどうやって調べれば良いのでしょうか?

この点、金・地金には貴金属業者の刻印が押されているので、刻印のある貴金属業者に問い合わせればOK。

例えば、以下のような感じ。

田中貴金属のインゴット

この画像は田中貴金属工業の販売しているインゴットですが、上の方に「TANAKA TOKYO MELTERS」と刻印がありますね。

これは、田中貴金属工業がLBMA(ロンドン地金市場協会)の認定を受けて金・地金を取り扱っている証です。

従って、このインゴットの相続税評価額を出す場合は、田中貴金属工業に問い合わせをすれば良いのです。

参考:他にも国内では、三菱マテリアル、徳力本店、石福金属興業、日鉱工業、松田産業、住友金属鉱山、三井金属鉱業がLBMAの認定を受けています。

なお、貴金属業者によってはホームページで日々の取引相場を公開していることもあるので、そちらを参考にしても構いません。

参考までに、田中貴金属工業のホームページを例に、平成30年11月15日の評価額を見てみましょう。

田中貴金属工業の評価額キャプチャー

11月15日の1g当たりの買取価格を見てみると4,740円ですね。
従って、仮に500gのインゴットを持っていたのであれば、相続税評価額は237万円(=500g×4,740円)ということです。

被相続人が、純金積立や金の預かりサービスなどを利用していた場合は、ホームページを見ても分からないでしょうから、利用していた貴金属業者に問い合わせるようにしてくださいね。

なお、明治時代や大正時代などに発行された記念メダルなどは、同じ金だったとしても金・地金ではなく書画骨董扱いとなります。従って、コインの買取業者に査定してもらい、査定価格を参考に相続税評価をすることになりますよ。

【参考】相続した金・純金・金地金を売却した場合の税金

相続で取得した金・地金をその後売却した場合、譲渡所得(総合課税)として所得税が課税されます(参考:金地金を売ったときの税金|国税庁

参考:金投資口座や金貯蓄口座等からの利益は、一律20.315%の税率による源泉分離課税となります。

税金

譲渡所得の計算式は以下の通り。

売却価格ー(取得価額+売却費用)=譲渡損益

ポイント:取得価額には、被相続人が当初取得したものを使う!

譲渡損益の計算をする際には、相続時の時価をもって取得価額を計算するのではなく、被相続人が当初取得した際の価格を使う点に注意しましょうね。(参照元:No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期|国税庁

参考:取得価額がわからない場合は、「売却金額×5%」が取得価額となります。

また、譲渡所得では金・地金の所有期間が5年以内か5年超かによって、所得の計算方法が以下のように異なります。

◆所有期間が5年以内の場合◆
(譲渡益+その他の総合課税の譲渡益)-特別控除(最大50万円)=課税譲渡所得

◆所有期間が5年超の場合◆
(譲渡益+その他の総合課税の譲渡益)-特別控除(最大50万円)}×1/2=課税譲渡所得

ポイント:所有期間は被相続人が取得した時点からカウントする!

なお、所有期間は、以前の所有者(被相続人)の所有期間を引き継ぐことになりますよ。

例えば、平成20年5月1日に被相続人が取得し、平成28年5月1日に相続が発生、相続人が平成30年5月1日に売却した場合の所有期間は、2年ではなく10年ですね。

金・純金・金地金を使った相続対策や注意点

ここからは、金・地金を使った相続対策の方法や注意点などについて見ていきましょう。

金の仏像や仏具は相続税対策にならない!

基本的に、被相続人が残した財産は全て相続税の対象となるのですが、墓地や仏壇仏具、神を祭る道具などについては、相続税はかからないとされています相続税法第12条

これは、祖先を崇拝する慣習や国民の感情に配慮したものです。

そこで、仏壇等が非課税と知った人の中には、きっとこう考える人がいるでしょう。

金の仏像や仏具を作れば相続税は非課税になるんじゃないか!?」と。

金でできた仏壇のイメージ

例えば、1,000万円する金の仏像を生前に購入しておけば、手元からお金は減るので相続財産は減り、仏像は非課税なので相続財産にカウントされず、めでたく相続税の節税が成功!となりそうですよね。

しかし、世の中そんなに甘くはありません。

日常的に、金の仏像や仏具を祭っているような場合であれば、非課税財産として認められると考えられますが、相続税対策の一環として相続直前に購入したような場合は、課税対象としてみなされます

相続税対策によって出来上がった仏像は、崇拝の対象というよりは「仏像の形をした金」ですからね・・・。もし、金の仏像が非課税なのであれば、お金持ちの家には金の仏像がゴロゴロあってもおかしくありません。

従って、相続税対策としての金の仏像や仏具の購入には意味がないです。

むしろ、「税務調査が入って指摘されるんじゃないか」とドキドキする日々を過ごすことになるので、やめたほうがいいでしょうね。

金の仏壇・仏具は、純粋な金の価格だけでなく美術品としての価値も加わるので、普通に金・地金を買うよりも高くなります。一方で売るときは純粋な金の部分しか値がつかないでしょうから、買った金額よりも大幅に下る可能性も秘めていますよ。

不動産より金・地金の方が良い?~固定資産税や遺産分割などメリットが多い!~

純金にするか不動産にするか悩む男性

相続対策として金・地金を考える場合、よく引き合いに出されるのが不動産です。

不動産と金・地金ではどちらを相続したほうがいいのでしょうか?

この点、金・地金には不動産と比べた場合に以下のようなメリットが考えられます。

  • 相場は変動するが、建物のように持っているだけで劣化することはない
  • 固定資産税のように、保有するだけで税金が課税されることはない
  • 不動産と違って、売りたいときにすぐ売ることが出来る

不動産と比べると良い事づくしですね・・・。賃貸不動産のように、安定した収入を得ることは出来ないですが、それ以外の点については金・地金の方が優れていると言えるでしょう。

そこで、1枚数万円~十数万円程度の金貨にしてたくさん持っておくのです。

不動産と金・地金

不動産を親族で共有名義にすると後になって揉める可能性が高いですが、金貨を小分けにしておけば、遺産分割の際にも揉めること無く簡単に分ける事ができるでしょう。

上でも書いたように金・地金の所得は総合課税による超過累進税率によって計算されます。所得が大きい人はそれだけ税率も高くなるので、税率が一定の分離課税である不動産と比べると、税金が多くなるケースがあるのでその点は注意が必要ですよ。

毎年110万円以下の純金を贈与する!

純金のイメージ画像

金・地金を相続すると相続税がかかります。そこで、相続するのではなく生前贈与をするというのはアリですね。

贈与税には110万円の基礎控除があるので、毎年110万円の範囲内で純金等を贈与すれば、贈与税はかからないですし合法的に相続財産を減らすことが出来ますよ。

なお、相続発生前3年以内の贈与については、生前贈与加算により相続財産とみなされるので、被相続人の死亡直前まで贈与をしていた場合は、相続財産としてカウントし忘れないように注意が必要です。

孫に対する贈与も有効ですが、孫への遺贈等があり相続発生前3年以内の贈与について相続税が課税される場合、孫の相続税は2割加算されることを忘れずに!(通常、孫は相続人にならないので気にする必要はないですけどね。)

金に名前が付いていないからと言っては隠してはダメ!

隠された純金のイメージ

相続税の脱税方法として「財産の現物を自宅やどこかに隠しておく」という方法がよく用いられます。

金には現金と同じく名前が付いていないので、インゴットなどは隠すのに格好の財産のような気もしますよね。

しかし、それは大きな間違いです。

税務署は、被相続人の過去の収入や預金の動きを細かく調べています。不自然な箇所があった場合は、税務調査が入りすぐにバレますよ。

脱税はダメ

実際に、金の延べ棒210本を自宅に隠していたことによって逮捕されたケースもあるほどです(参照元:床下に金の延べ棒210本、7億円脱税で起訴 日本経済新聞、2011年10月3日付)

相続財産を隠してあとでバレた場合は、逮捕されなかったとしても重加算税が科せられ、本来払わずに済んだはずの高額な税金を取られることになりますよ。

特に、金については売った際の所得税の確定申告漏れが目立つことから、平成24年以降は貴金属業者が200万円超の金を売却した方の以下の情報を「金地金等の譲渡の対価の支払調書」に記載して税務署に提出することになりました所得税法第225条第1項第14号)

  • 住所
  • 氏名
  • マイナンバー
  • 金地金等の種類
  • 重量
  • 数量
  • 支払金額
  • 支払確定年月日

つまり、相続財産に含めずに申告をしたとしても、金・地金を売った時点でその情報が税務署に伝わるので、「そんな金・地金そもそもどうやって手に入れたの?相続財産?ちゃんと申告してますか?」となる訳ですね。

悪質な脱税は犯罪なので絶対にしてはいけません。
必ず正しい内容で申告しましょう。

家族には金・地金の存在をきちんと知らせておく!

家族写真

金・地金等を持っている場合は、生前のうちに家族にきちんと置いている場所などを知らせておきましょう。

自宅に貸金庫を置いていて、その中に入れてあるのであれば分かりやすいですが、人目につかないところに隠している場合は相続人が気づかないかもしれません。

相続は宝探しゲームみたいになってはいけません。きちんと生前のうちに金・地金の存在について家族で話し合っておくか、遺言やエンディングノートに置いてある場所を書いておきましょうね。

貴金属業者に金を預けている場合や純金積立をしている場合も同様です。現物が手元にないと、相続人が見つけるのはより困難になってしまいます。

まとめ

金・地金の相続税評価方法や、相続対策として使う場合の注意点などについて見てきました。

相続税対策として使うのは難しいですが、揉めない相続の実現のためには有効と言えます。

ただし、その場合もしっかりと家族で話し合って、誰が何を相続するのかについては生前のうちにある程度決めておくのが好ましいですね。

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