分かりやすい!ゴルフ会員権の相続税評価額の計算方法を解説

投稿日
2019年11月05日
更新日
2019年11月06日
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ゴルフ会員権の相続税評価方法

「亡くなった父がゴルフ会員権を持っていた!相続税の評価はどうするの?」

「ゴルフをしないから、親の持っていたゴルフ会員権は要らないんだけど・・・。」

こんにちは。相続関係を専門にしている税理士法人ファンウォール、代表社員税理士の山中です。

バブル期には数千万円単位で取引されていたゴルフ会員権

バブルが崩壊しゴルフ会員権のブームが過ぎたことで、以前ほど頻繁にゴルフをプレーすることもなくなくなったのではないでしょうか。

中には、1年間でほとんどゴルフをプレーしないのに年会費だけ収めているというケースも有るでしょう。

しかし、ゴルフ会員権も立派な相続財産なので、相続をした場合は相続税評価額の計算をしなければなりません!

「今となってはもう価値もないだろう」なんて勝手に決めつけて放っておくと、後で痛い目にあうかもしれないですよ。

ここでは、ゴルフ会員を相続した場合の手続きや、ゴルフ会員権の相続税評価額の計算方法などについて、相続税専門税理士である私がわかり易く解説をしていきますね。

ポイントは以下の通りです。

  • ゴルフ会員権は相続(税)の対象!
  • 取引相場の有無で評価方法が異なる!
  • 会員権の取引価格だけでなく預託金部分も評価が必要!
  • 会員権の取引価格はネットで調べることができる!

では、一緒に見ていきましょう。

ゴルフ会員権とは?

ゴルフをする男性

ゴルフ会員権とは、会員制のゴルフ場を利用するための権利のことです。

会員権は、主に以下のどちらかの形式で発行されています。

  • 株式形式
  • 預託金(保証金)形式
参考:他にも社団法人制や任意団体による方式もあります。

株式方式の意味

株式方式では、ゴルフのプレーをする権利だけでなく株主としての地位もあるので、株主総会や会員総会などに出席してゴルフ場の経営に関する権利(議決権)を有することになります。

預託金方式の意味

一方の預託金方式は、一定のお金をゴルフ場に預けることで施設利用権を手に入れる方式です(会員をやめる際には預託金は返還してもらえる)。

一見さんよりも優先的にプレーしたり、安い料金でプレーをすることは出来ますが、株主ではないのでゴルフ場の経営に対して口出しをすることは出来ません。

なお、上記の内、日本のゴルフ場は全体の9割が預託金(保証金)形式を採用していますよ。

最近は、プレー権のみを販売する形態も増えてますし、そもそもゴルフ会員権がなくてもプレーできるコース(パブリックコース)が多いです。それでも会員権があると料金が安かったり、優先的に予約が出来たりとメリットがたくさんあります。

ゴルフ会員権の相続手続きとその後

相続手続のやることリスト

相続が発生すると、被相続人が生前に持っていた財産は債務も含めて相続人が相続することになります民法第896条

そして、ゴルフ会員権は市場で取引がされていて、資産としての価値をもっているので相続&相続税の対象です。

会員規約で、相続や譲渡を禁止しているゴルフ場もあります。その場合は、会員権の所有者が亡くなった時点で資格が喪失となるので、相続は出来ません(相続の対象外)。

従って、被相続人がゴルフ会員権を持っていた場合は、相続人は現金や不動産などの財産と同様に、相続できますよ。

では、ゴルフ会員権の相続手続きはどのようにすればいいのでしょうか?以下で、相続手続きの流れを見ていきましょう。

窓口対応する女性

まず、相続が発生したらゴルフ会員権証券を探しましょう。

一般的に表面にゴルフ場の名前や額面金額、裏面に会員権の所有者名(被相続人の名前)が記載されていることが多いです。

そして、会員権証券を見つけたら、会員権に記載されているゴルフ場に連絡をしましょう。

ゴルフ会員権を相続した相続人は、以下のどちらかの手続きをすることになります。

  • 名義書き換えをしてプレーをする
  • 市場で売却

まず、相続人自身もゴルフをプレーする場合は、名義変更をすることで今後は自分のゴルフ会員権として所有しプレーをすることが可能です。

参考:ゴルフ会員権は持っているだけでは会員とは認められません。名義書換をして、自分名義にすることで自分のものとして認められます。

名義書換をするには、まず以下の必要書類を提出した上でゴルフ場による入会審査を受ける必要がありますよ。

  • 戸籍謄本や除籍謄本(被相続人と相続人との関係を示すもの)
  • 相続同意書(ゴルフ場に様式があることが多い) *
  • 相続人全員の印鑑証明書

*:遺産分割協議書でも特に問題はないですが、ゴルフ場が独自の相続同意書の様式を指定している場合はそちらに従うようにしましょう。

相続人が複数いたとしても、ゴルフ会員権を相続できるのは1人だけです。仲良く2人で共有とかは出来ません。

ゴルフ場はそれぞれ会員規約で独自に入会条件を設定していて、年齢や他のゴルフクラブの在籍状況などによって審査をします。

相続は意図して発生するものではないため、審査が免除もしくは緩くなることがありますが、場合によっては入会できないことがあることは知っておきましょう。

無事にゴルフ場の審査がおりると、最後にゴルフ場に名義書換料を支払います。
この名義書換料はゴルフ場にとっての重要な収益源なので、相続の場合は割引されるケースもあるものの請求はされるでしょう。

参考:名義書換料は、相続税の計算上債務として控除することはできません。

名義書換料の金額はゴルフ場によってバラバラです。

一般的には10万円~100万円程度ですが、中には東京の小金井カントリー倶楽部のように1,500万円もかかるケースもありますよ。

名義書換料があまりにも高い場合は、売却を検討するのも有りですね。

売却を検討するのであれば早めにしておこう!

貯金箱

一方で、ゴルフをしていない相続人や、ゴルフ場が遠方の場合は、持っていても仕方がないですからね・・・。その場合はゴルフ会員権を市場で売却することになります。

売却をする場合は、相続手続きの際に申し出ればその後の売却方法について教えてもらうことが出来ます。一般的には、ゴルフ会員権業者を通じて売却することになるでしょう。

売却する場合は、基本的に名義変更手続きは不要ですが、中には一旦名義変更をしてから売却しないといけないゴルフ場もあるので、詳しくはゴルフ場で確認するようにしてくださいね。

参考:ゴルフ会員権を持っている場合、ゴルフ場に年会費を支払うのですが、相続した会員権を売却する際は、売却までの年会費が優遇されるケースがあります。

なお、売却をして利益が出た場合(ゴルフ会員権の場合、当初の購入価額より高く売れるケースはあまり無いとは思いますが・・・)は所得税の確定申告が必要となるので忘れずに。

相続税の申告期限から3年以内に売却した場合は、取得費加算の特例により税金の負担が軽減されるので、売ると決まっているのであれば、早めに売却することをオススメします。

ゴルフ会員権の相続税評価額の計算方法

電卓とボールペン

ここでは、ゴルフ会員権の相続税評価額を算出する方法について見ていきましょう。

ゴルフ会員権には、相場の有無から以下の2種類に分かれます。

  • 取引相場のあるゴルフ会員権
  • 取引相場のないゴルフ会員権

取引相場があるというのは、日常的に取引がされており、今売ったら(買ったら)いくらかが分かるものです。大体のゴルフ会員権には取引相場があります。

逆に、取引相場がない会員権の場合は、そもそも取引することが認められていない会員権を含め、価値がほとんどないと考えられますね・・・。

どちらに該当するかによって相続税評価の方法が異なるので、まずは被相続人の持っていたゴルフ会員権がどちらに該当するのかを把握しましょうね。

では、以下でそれぞれの相続税評価額の計算方法を見ていきましょう。

取引相場のあるゴルフ会員権の評価方法

ゴルフクラブとボール

取引相場のあるゴルフ会員権については、以下の計算式を使って相続税評価額を算出します。

相続発生日時点の通常の取引価格×70%

例えば、相続発生日(被相続人の亡くなった日)時点の取引価格が100万円だった場合、このゴルフ会員権の相続税評価額は70万円(=100万円×70%)ですね。

相続税評価に使う取引相場は、売り価格と買い価格の平均値(仲値)を使うことになります。例えば売り価格150万円、買い価格130万円の場合は、98万円(=140万円×70%)となりますよ。

なお、取引価格に含まれていない預託金等がある場合は、預託金等もゴルフ会員権の相続税評価額に含める必要があります。

ただし、ゴルフ場によっては預託金をすぐに返してくれるとは限らないので、預託金の返還時期に応じた相続税評価額の計算が必要です。

参考:実際のところ、預託金の償還請求をしてすぐに返してくれるゴルフ場は、ほとんど有りません。資金繰りが厳しいのが主な原因でしょうね。

相続発生日時に直ちに返還を受けることができる預託金等の評価方法

相続発生日時点の通常の取引価格×70%+返還される預託金等の額

例えば、取引価格が100万円で、相続発生後すぐに返還される預託金が20万円ある場合、このゴルフ会員権の相続税評価額は90万円(=100万円×70%+20万円)です。

相続発生日から一定の期間を経過した後で返還を受けることができる預託金等の評価方法

相続発生日時点の通常の取引価格×70%+返還される預託金等の額×返還されるまでの期間に応じた基準年利率による複利現価率
参考:返還を受けるまでの期間が1年未満の場合や、1年未満の端数がある場合は1年としてカウントします。

これは少しややこしいですね。要は、預託金が返ってくるまでの期間、預託金を一定の利回りで運用したと仮定した場合に、現時点でどれくらいの返還額になるのか(現在価値)を計算し評価額にするということです。

例えば、平成30年8月に相続が発生し、取引価格100万円で預託金(200万円)は7年後に返ってくるとしましょう。同月の7年の基準年利率は0.25%です。

複利表

そして、0.25%の複利年金現価率は0.983。

これを上記の計算式に当てはめてみると、ゴルフ会員権の相続税評価額は「100万円×70%+200万円×0.983=266.6万円」となります。

基準年利率による複利現価を使う方法は、定期借地権の評価にも使われていますよ。

取引相場のないゴルフ会員権の評価方法

財産調査のイメージ

次に、取引相場のないゴルフ会員権について見ていきましょう。

取引相場のない会員権の評価方法は、会員になる条件によって以下の3パターンに分かれます。

  • ①株主でないと会員になれない会員権
  • ②株主で、さらに預託金等を預託しないと会員になれない会員権
  • ③預託金等を預託しないと会員になれない会員権

1つずつ内容を見ていきましょう。

①株主でないと会員になれない会員権

まず、株主にならないと会員になることができない会員権の場合、そのゴルフ会員権は株式と変わりがないと考えられるため、非上場株式と同様の評価を行います。

具体的には、類似業種比準方式や純資産価額方式といった方法ですね。

これらについては、非上場株式の評価の解説記事を参考にしてください。

株式の相続税評価額の計算方法 | 上場・非上場に場合分けして解説【記事未了】
 

②株主で、さらに預託金等を預託しないと会員になれない会員権

次に、株主で、かつ、預託金を預託しないと会員になれないタイプの会員権の場合、株式部分と預託金部分を分けて評価をすることになります。

いずれも上で評価方法を紹介しましたね。株式部分は非上場株式と同様の評価を行い、預託金部分はすぐに返還してもらえるか否かで若干評価金額が変わります。

そして、それぞれの計算結果を合算した金額がゴルフ会員権の相続税評価額となります。

例えば、株式部分の評価額が20万円で預託金部分の評価額が10万円であれば、このゴルフ会員権の相続税評価額は30万円(=20万円+10万円)となります。

③預託金等を預託しないと会員になれない会員権

最後に、株主になる必要はないけど、預託金を預託しないと会員になれないタイプの会員権です。

このタイプのゴルフ会員権は返還される預託金部分の評価をすればOK

例えば、預託金の評価額が50万円なのであれば、相続税評価額は50万円となります。

預託金部分の評価は、取引相場のあるゴルフ会員権で紹介したので、そちらを参考にしてくださいね。

相続税評価をする必要のないゴルフ会員権

ここまで「取引相場のある株式の評価方法」「取引相場のない株式の評価方法」をそれぞれ見てきましたが、以下のすべての要件を満たすゴルフ会員権は、評価をする必要はないですよ財産評価基本通達211

  • 株主の所有が不要
  • 会員権の譲渡が出来ない
  • 預託金の返還が受けられない
  • ゴルフ場で単にプレーができるだけ

これら全ての要件を満たす場合は、評価するほどの財産的価値が無いということですね。

【サンプルあり】ゴルフ会員権の相場の調べ方

パソコンで調べる女性

ゴルフ会員権の相続税評価の方法が分かったところで、取引価格をどのようにして調べるのかを見ていきましょう。

相場は、会員権の取引業者の相場表で確認する事ができます。

主な業者としては以下のものがありますよ。

例えば、ゴルフホットラインで東京の青梅GCの相場を見てみましょう。

ゴルフホットラインの相場

青梅GCの会員権の売相場は22万円で買相場は7万円となっています。

売相場は「売るときのの希望価格」、買相場は「買うときの希望価格」を表しています。

上でも書いたように、取引価格はそれぞれの仲値で評価をするので、14.5万円{=(22万円+7万円)/2}ですね。

また、青梅GCは預託金が200万円となっているので、これについてはゴルフ場に問い合わせをして、すぐに返ってくるのかどうかに応じて評価をしていきます。

ここでは、すぐに預託金が返ってくるものとして評価をしましょう。

ゴルフ会員権の相続税評価額は以下の通り。

145,000円×70%+2,000,000円=2,101,500円

なお、相場は各業者によって微妙に差の出ることがあります。相場に差がある場合は、いくつかみて価格の平均値を採用するのが良いですね。

参考までに、日経ゴルフで同様に青梅GCの相場を見てみると、以下の通りでした。

日経ゴルフの相場

売相場は25万で買相場は5万円(仲値は15万円)ですね。

従って、ゴルフホットラインと日経ゴルフの平均値は(145,000円+150,000円)/2=147,500円となります。

預託金は同じ200万円なので、これを前提に評価をすると以下の通り。

147,500円×70%+2,000,000円=2,103,250円
会員権を売却する場合は、業者の相場ではなく売却価格の70%で評価をします。

売り気配・買い気配の片方しかない場合のゴルフ会員権の評価方法

いざ、ネットでゴルフ会員権の相場を調べてみると、売り気配と買い気配のどちらか片方しか金額が出てこないケースがあります。

このような場合、どうやって相続税評価をすればいいのでしょうか。

例として、ゴルフダイジェストで兵庫県にあるゴルフ場の会員権相場を見てみましょう。

ゴルフダイジェストの相場(兵庫県)

いくつか買い気配のないゴルフ場がありますね。ゴルフ会員権は上場株式と違って、毎日大量に取引されている訳ではないので、当然売りたい人や買いたい人がいないときもあります。

つまり、ゴルフ会員権は被相続人の死亡日時点で評価する必要があるものの、必ずしも死亡日に取引価格があるとは限らないということですね。

そこで、もし相続発生日の取引相場が見つからない場合は、死亡日の前後でもっとも近い日の取引相場を使うと良いでしょう。

参考:もっとも近い日が、他の日と比べて異常に取引価格が低いなど、課税上の弊害がある場合は、別途検討が必要です。
1つの業者で気配なしと表示されていても、別の業者で調べると金額が出ているケースもありますよ。

それでも分からない場合は、業者やゴルフ場に「いくらなら売れるか」ということを問い合わせてみると良いでしょう。

業者やゴルフ場の回答をもとに評価をすれば、それが大きな問題になることは基本的に無いと考えられます。

なお、財産評価は法律に基づいて合理的に行う事が求められます。判断するのが難しい微妙な問題点がある場合には、税務署や税理士に一度相談してみることをオススメします。

最後に

相続財産にゴルフ会員権があった場合の相続手続きの方法や相続税評価の方法について見てきました。

ゴルフ会員権の評価自体はそれほど難しいものではないですが、ゴルフ会員権証券が相続発生後に簡単に見つけられるとは限りません。

ゴルフ好きな家族の場合は、生前のうちからゴルフ会員権の有無については確認しておいた方が良いでしょうね。

なお、相続が発生したのに手続きをせずに放っておくと、年会費が未納になってしまい、返してもらえるはずだった預託金が目減りしてしまうことがあるので、必ず手続きをするようにしましょうね。

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