【徹底解説】相続放棄申述書の書き方とサンプル。これだけ押さえれば自力で出来る!

投稿日
2019年11月02日
更新日
2019年11月02日
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相続放棄申述書の書き方

相続人は被相続人(=亡くなった人)の残した財産を引き継ぐのですが、預貯金や不動産などの資産だけでなく、借金などの負債も引き継ぐことになります。

財産が負債よりも多ければ良いのですが、中には借金の金額が大きすぎて、素直に相続をしたら自分の首が回らなくなる!という場合もあるでしょう。

そんな時に利用するのが「相続放棄」です。

相続放棄をすると、初めから相続人ではなかったものとしてみなされるので民法第939条、借金の取り立てにあうこともなくなるのです。

ただし、相続放棄は「相続を放棄します!」といえばそれでOKというものではなく、相続発生後3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きしないといけません民法第938条

参考:遺産分割協議で遺産を全く取得しないことを(実質上の)相続放棄だと言うことも出来ますが、法律上の効力はないので、借金がある場合は債権者からの取り立てにあう可能性があります。

そして、家庭裁判所の手続き時に提出する書類が「相続放棄申述書(そうぞくほうきしんじゅつしょ)」ですね。

「なんだか難しそうな名前の書類だけど、どうやって書けばいいんだろう・・・。」と悩んでしまう人も多いのでは?

分からないと言って、適当に書いて裁判所が受理してくれなかったら大変ですしね・・・。

そこで、今回の記事では相続放棄申述書の書き方について、サンプルを見ながらつまづきやすい点を含めて分かりやすく解説していきます。

また合わせて「自分でできる?相続放棄の手続きをゼロから図解入りで徹底解説!【記事未了】」もご参照くださいね。

【雛形あり】相続放棄申述書とは?

相続放棄

相続人が相続放棄をする場合、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で、相続放棄の申述(しんじゅつ)をしなければなりません。

相続放棄申述書は、相続放棄の申述、つまり相続放棄の手続きをする際に裁判所に提出するメインの書類のことです。一般的な手続きでいうところの「申請書」のようなものですね。

2枚1セットで、以下のような書類です。

相続放棄申述書の一枚目

相続放棄申述書の二枚目

相続放棄申述書を入手する方法(ワード有り!)

相続放棄申述書を入手する方法は、以下の2つです。

  • ①直接、家庭裁判所に行って貰う。
  • ②裁判所のホームページからダウンロードする(PDFワード
相続放棄申述書自体に書式の規定はないので、必要な事項を記載していれば自分でワードやエクセルで作っても問題ないですが、裁判所のホームーページからダウンロードするのが一番手っ取り早いですね。
参考:「申述人が20歳以上かどうかで、申述書のフォーマットが違う」と書いているサイトを見かけますが、フォーマット自体は同じです。書き方が少々異なる(後述)ので、裁判所のホームページ上、雛形を分けているだけですよ。

相続放棄申述書の記入例

ここからは、相続放棄申述書の記入例を紹介していきます。

まずは、完成した状態を見ておきましょう。

相続放棄申述書の書き方サンプル1枚目
相続放棄申述書の書き方サンプル2枚目

2枚あるので、書く量が多そうな気がしますが、実際にはそんなに難しくありませんよ。

以下で項目ごとに説明していきますね。

【記入不要】収入印紙等の料金記入欄

相続放棄申述書の印紙貼り付け欄

収入印紙を貼る欄です。提出前に800円分の収入印紙を買って貼りましょう。

なお、通常の契約書や領収書だと、貼った印紙に押印しますが、相続放棄申述書では、印紙の上に押印をしてはいけません。

また、収入印紙や郵便切手の額を書く欄がありますが、ここは記入しなくてOKです。

【記入不要】準口頭・関連事件番号

相続放棄申述書の準口頭・関連事件番号欄

事件番号(犯罪などでなくても裁判所は案件を「事件」と呼びます)を記載する箇所です。

裁判所が記入するので空欄でOKです。

申述人名の欄

相続放棄申述書の申述人名の欄

提出する家庭裁判所名(裁判所名は支部名まで書く必要はないですよ)と提出年月日、そして申述人の記名押印欄(ハンコは認印でOK・印鑑証明も不要)です。

参考:申述書の提出時以外にも手続きは続くので、実印以外の印鑑を使った場合は、どの印鑑を使ったのか覚えておくようにしましょうね。

なお、申述人が未成年者の場合は、以下のように「〇〇の法定代理人〇〇」と書くようにしましょう。

相続放棄申述書の申述人が未成年の場合の申述人名の書き方

相続人が未成年者でなかったとしても、認知症等により意思能力がない場合は単独では相続放棄が出来ません。成年後見人等が代わりに手続きする場合も、法定代理人に準じた記載が必要ですよ。

添付書類の欄

相続放棄申述書の添付書類欄の書き方

相続放棄の申述時に「相続放棄申述書」とセットで提出する必要書類について、チェック及び通数を記載しましょう。

なお、必要となる書類は、申述人と被相続人との関係によって異なるので家庭裁判所に確認するのがオススメですが、こちらの「裁判所の相続放棄の申述ページ」からも確認できますよ。

申述人・法定代理人等・被相続人の欄

相続放棄申述書の申述人・法定代理人等・被相続人の欄の書き方

申述人や被相続人の個人情報について記載する欄です。
取得した戸籍謄本などに記載されている内容をそのまま書けばOK。

なお「(~~~方)」となっているところは、方書き(かたがき)と言って、名字の違う親族などに家を間借りさせてもらっている時など、地番だけでは住まいの場所を定められないときに記載する項目です。

該当する人はそんなにいないと思いますが、もし該当するのであれば記載しておきましょう。(例:家主の名前が鈴木なら、(鈴木方)と書けばOK)。

被相続人の本籍や住所が申述人と同じ場合は、「申述人の住所(本籍)と同じ」と記載してもいいでしょう。

なお、申述人が未成年者の場合は、以下のように法定代理人等の欄も記載が必要となるので、忘れずに。

相続放棄申述書の法定代理人等の書き方

申述の趣旨

相続放棄申述書の申述の趣旨欄

申述の趣旨を書くのですが、相続放棄の場合は「相続の放棄をする。」ともともと記載されているので、特に何も書く必要はありません。

申述の理由

相続放棄申述書の申述の理由欄の書き方

申述の理由というと、「相続放棄をしたいから」と答えたくなるかもしれないですが、ここには「相続の開始日」を書くことになります。

「相続の開始日」とは「自分のために相続が始まったことを知った日(=自分が法律上、相続人であることを知った日)」の事を指し、被相続人の配偶者や子などの親族であれば、通常「1 被相続人死亡の当日」になるでしょう。

なぜ、開始日を書く必要があるのかと言うと、相続放棄の期限は原則として相続開始後3ヶ月以内に行う必要があるからですね。

そのほか「1 被相続人死亡の当日」以外の項目に○を付ける事例をあげておくと以下のようになります。

ケース事例
「2 死亡の通知を受けた日」
・親とあまり交流がなく死亡日を後から知った場合
「3 先順位者の相続放棄を知った日」
・先順位者が相続放棄して、後順位者の自分が相続人になる場合(参考:【図解で簡単】法定相続人の範囲と順位【記事未了】
「4 その他」
・相続放棄の期限である3ヶ月を過ぎてから多額の借金があることを知った場合
・熟慮期間である3ヶ月間、頑張って相続財産の調査をしたが財産・負債の総額が分からない場合

なお、熟慮期間である3ヶ月を過ぎてから借金の存在を知った場合など、相続放棄申述書を提出するのが遅れた場合には「上申書」と呼ばれる事情説明書を一緒に提出することが求められます。

提出が遅くなった経緯や理由を詳細に書いて一緒に提出するようにしてくださいね。

相続開始日から3ヶ月経ってから相続放棄をする場合は弁護士等の専門家に相談するのがオススメですよ。

放棄の理由

相続放棄申述書の放棄の理由欄の書き方

今回、相続放棄をするに至った理由として当てはまるものに○をしましょう。

一般的に、相続放棄をする理由として多いのは「借金が多いから」なので、その場合は「5.債務超過のため。」を選ぶことになります。1〜5に該当するものがない場合は、「6 その他」の欄に理由を簡潔に書いてくださいね。

「その他」欄に書くこととしては「遺産分割にかかわりたくない」や「債務超過の恐れがある」などがあるでしょうか。

ここに書いた理由が原因で相続放棄が受け付けられない、ということはまずないので、正直に選びましょう。

相続財産の概略

相続放棄申述書の相続財産の概略欄の書き方

被相続人が遺した相続財産の概略について記載します。申述書の中ではもっとも面倒な箇所と言えるでしょう。

ただし、ここは1円単位の完全に正確なものが求められている訳ではありません。相続放棄の申述をする時点で、把握できている相続財産について記入すればOKですよ。

もし、自分に全く遺産を相続する意思はなく、全く相続財産の概略も把握していないなら「不明」と書いても良いでしょう(*)。

* たとえば関わりの薄いオジやオバの相続で自分が代襲相続人となった場合など、他の相続人から相続放棄をして下さいと言われることがあります。その時、他の相続人は相続財産の概略を教えてくれない可能性が高いですから、分からないものは「不明」としか書きようがありませんね。

相続放棄申述書の代筆できる?委任状は必要?

相続放棄申述書には原則として本人の自署が必要ですが、申述人が高齢や怪我をしていて自分で書けないこともありますよね。

その場合は、親族が代筆してもいいのでしょうか?

この点、代筆した場合は裁判所に正直に事情説明をしましょう。きちんと本人の意思が認められれば、代筆でも基本的に問題となることはないと考えられます。

なお、親族が代筆するだけであれば、委任状は恐らく必要ないでしょう。

ただし、本人が認知症で法律行為をする能力を欠いている場合などは代筆して提出する事は認められず、もし代筆して提出したとしても無効です。このような場合には、後見人の選任をしてから申述書を提出することになります。

弁護士に相続放棄の手続きを代理してもらう場合は、委任状を書けば申述人代理人として弁護士が署名押印し、相続放棄申述書の提出をしてくれますよ。

相続放棄申述書の提出時に必要な添付書類や費用は?

必要書類

相続放棄をする際に必要となる書類や費用は、以下の通りです。

  • 相続放棄申述書
  • 収入印紙800円分(申述人1名ごと)
  • 連絡用の郵便切手(家庭裁判所によって若干異なる・・・400円程度)
  • 被相続人の住民票除票(戸籍附票)
  • 申述人の戸籍謄本

参考:収入印紙と郵便切手は裁判所の窓口で購入可能。

詳しくは「相続放棄の必要書類【記事未了】」を参考にしてくださいね。

司法書士や弁護士などの専門家に相続放棄の手続きを依頼する場合、別途、報酬として数万円〜10万円程度が必要になりますよ(関連記事:相続放棄の費用)。

相続放棄申述の流れ

相続放棄の流れは大まかには以下のようになります。

  1. 相続放棄申述書を提出(相続財産の把握・必要書類の準備含)
  2. 家庭裁判所から送られてくる照会書を返送する
  3. 相続放棄申述受理通知書が届く

相続放棄申述書の提出

まず、相続放棄をするにあたって重要なのは、相続財産の把握です。どれくらい資産と負債があるのかを可能な範囲で調べましょう。「借金があると言われていたけど、いざ調べてみたら資産の方が多かった」、という嬉しい間違いもあるかもしれないですからね。

次に上で紹介した提出資料の準備です。
資料に漏れがあると受理してもらえないので、裁判所に相談した上で必要な資料を集めましょう。

そして、提出資料が用意できたら、家庭裁判所に提出ですね。

相続放棄は相続人が単独で行うことができますが、放棄すると借金が次の順位の相続人に渡ってしまいます。トラブルにならないように、相続放棄をする場合は他の相続人等にもきちんと連絡しましょうね。

照会書を裁判所に返送する

手続きの流れ

申述書を提出して数日から2週間程度経つと、家庭裁判所から申述人宛に照会書が送られてきますよ。

照会書で聞かれることは、主に以下のような内容です。

  • 相続開始を知ったのはいつか?
  • 相続放棄をするとどうなるか理解しているか?
  • 本当に自分の意思で相続放棄をしようとしているか?
  • 相続放棄をするという意思は変わらないか?

簡単な質問ばかりなので、必ず回答するようにしてくださいね。返送しないといつまで経っても相続放棄の手続きは終わらないですよ。

相続放棄申述受理通知書が届く

照会書を返送したあとで、内容に特に問題点がなければ、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が送られてきます。これが届いたら、相続放棄を家庭裁判所が認めてくれたということなので、一安心です。

各家庭裁判所によってフォーマットは異なりますが、参考までに「相続放棄申述受理通知書」の一例を載せておきます。

相続放棄申述受理通知書

なお、借金がある場合、相続放棄をしても債権者が知らずに取り立てに来ることもあります。その場合は、相続放棄申述受理通知書を見せれば諦めてくれるでしょう。

ただし、中には「通知書ではダメだ!」と言われるケースもあるので、その場合は家庭裁判所で「相続放棄申述受理証明書」を発行してもらって、提出すればOKです。

相続放棄申述受理証明書の取得方法と証明書が必要になるケース

最後に

ポイントを理解する女性

相続放棄申述書の書き方について見てきました。

書き方を見て「あれ、思ってたより簡単だな」と感じた方が多いのではないでしょうか?

実際には、申述書の記載方法よりも、添付資料を集める作業の方が大変だと感じる方が多いように思いますね。

相続放棄の手続き自体は難しいものではなく、必要な情報を正しく記載して期限内に申述をすることが重要となってきます。

なお、ここでは基本的な相続放棄申述書の書き方について紹介しましたが、実際の相続では、手続き期限内に財産の調査が終わるとは限りません。

間に合わなさそうな場合は、事前に期限を延長する手続きなども必要となるので、弁護士に相談することをオススメします。

相続開始後3ヶ月経ってから多額の借金が発覚した場合など特殊事情がある場合も弁護士に相談するのがオススメです。

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