遺留分とは?遺留分の内容を分かりやすく解説!知らないと「損」をするかも!?

投稿日
2020年02月26日
更新日
2020年06月12日
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遺留分サムネイル

「遺言を作ろうと思うけど、遺留分に気をつけないといけないとかなんとか。遺留分って一体なに?」

「親が遺言を残してくれていたけど、自分の取り分が全然ない!なんとかならないの?」

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自分が亡くなったときに、残された家族が揉めないために遺言を作っておくことが最近増えてきています。

公平に分ける内容の遺言であれば特に問題ないのですが、中には特定の親族や愛人などに全財産を譲るといった極端な内容の遺言を残す方もいるでしょう。

そんなことをされては、財産をもらえなかった相続人はたまったもんじゃありませんよね・・・。そこで、民法は遺留分というもので相続人の相続分を保護しているのです。

しかし、この遺留分はしっかりと内容を把握しておかないと、知らないうちに時効が来てしまい、どうしようもなくなってしまう可能性もあります。

そこで、ここでは遺留分の内容についてわかりやすく解説していこうと思います。

ポイントは以下の通り。

  • 遺留分は法律で保障される最低限の相続分!
  • 遺留分は法定相続人(兄弟姉妹以外)に認められている!
  • 遺留分は放棄することもできる
  • 遺留分を侵害されたら遺留分侵害額請求権を行使!(時効があるので要注意)

では一緒に見ていきましょう。



遺留分とは?

遺留分とは、一言でいうと「相続人に法律で保障された最低限の相続分」のことです。

相続が起きると、法定相続人は自分の法定相続分に応じた遺産を取得するのが基本です。

しかし、被相続人は、自分が亡くなったときに相続人たちが揉めないために、自分の財産を誰に渡すのかを生前のうちに遺言で決めておくことがあります(参考:民法902条第1項)

遺言書

遺言の書き方として、誰に何を譲るように書くかは特段の制限はなく、遺言者の自由です。
例えば、「長男Aに家を相続させ、長女Bに預金○○万円を相続させる」といった感じですね。

そして、遺言が残されていた場合、相続人は基本的にその内容に従う必要があります。

ただし、中には特定の相続人や愛人等に全財産を相続させるような遺言だったり、特定の相続人の相続分が極端に少なくなるような遺言が残されているケースもあるでしょう。

もちろん、遺言でどう書こうが被相続人の自由なので、上記のような遺言も有効です。

また、被相続人が生前のうちに特定の人に対して自分の財産の大半を贈与してしまっているケースもあるでしょう。「相続が発生して蓋を開けてみたら、財産が全然なかった・・・」というパターンですね。

生前贈与についても、「いくらまでしかしてはいけない」といった決まりはないので、財産の大半を贈与することももちろん可能です。

しかし、相続人は被相続人が遺した財産を引き継ぐことを期待しているでしょうから、その期待を保護する必要があります。

それに、配偶者が専業主婦や高齢者だった場合は、財産をある程度もらわないと今後の生活が厳しくなることも考えられますよね・・・。

遺留分のイメージ

そこで、民法は上記のような極端な遺言が残されていた場合や、財産の大半を生前贈与してしまったような場合でも、相続人が最低限の財産を相続できるように遺留分を認めたのです。

参考:遺留分のある相続人を遺留分権利者といいます。

詳しくは後述しますが、自分のもらう財産が遺留分に満たない場合は、財産をたくさん相続した相続人から、遺留分に見合うだけの財産を返してもらう事ができますよ。

遺留分の放棄には、似た用語として相続放棄や相続分の放棄などがありますが、これらは全く違う意味を持っています。詳しくは「ややこしい!相続放棄・遺産放棄・遺留分の放棄・相続分の放棄の違いとは?」を参考にしてください。

遺留分の割合は?~兄弟には遺留分がない!~

各相続人は遺留分によって最低限の相続分を保障されていることが分かりました。

では、各相続人はどれくらいの遺留分が認められているのでしょうか。この点については民法1042条で定められているのですが、言葉だと分かりにくいので表で見てみましょう。

相続人ごとの遺留分

例えば、相続人が配偶者と子(1人)だった場合は、配偶者と子の遺留分はそれぞれ財産全体の1/4ずつとなります。相続財産の合計が1億円だとすると、配偶者と子の遺留分はそれぞれ2,500万円(=1億円×1/4)ですね。

配偶者と子の遺留分

なお、相続人が配偶者と子(2人)だった場合は、子の遺留分は2人で分けることになるので、配偶者の遺留分が1/4で、子は1/8ずつとなりますよ。

配偶者と子2人の遺留分

ところで、表を見れば分かるように遺留分があるのは「配偶者・子・親(直系尊属)」で、兄弟姉妹には遺留分が認められていません。

つまり、兄弟姉妹は遺言で取り分がゼロになってたり、極端に取り分が少なくなっていたとしても、遺留分がないので文句をいうことが出来ないのです!

遺言を書かなかったら兄弟姉妹は法定相続人として遺産を相続する権利がありますが、遺言で兄弟姉妹に財産が渡らないように記載しておけば、後で文句を言われることもありません。

相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合は、揉め事に発展するケースが多いので、遺言等の手当も考えておくと良いでしょう。詳細は下記記事を御覧ください。

【要注意】遺留分は兄弟姉妹には認められていない!泥沼の遺産相続を防ぐために出来ることは?

遺留分は兄弟姉妹以外の相続人に認められるのですが、「相続放棄をした人・相続廃除された人・相続欠格者」はそもそも相続権がなくなるので、遺留分は認められません。

代襲相続でも遺留分は認められる!(ただし、兄弟姉妹の代襲相続人は除く)

遺留分は兄弟姉妹以外の法定相続人に認められることが分かりましたが、代襲相続の場合でも遺留分は認められるのでしょうか?

考える女性

例えば、父親・母親・長男・孫の4人家族で父親が亡くなった時点で、既に相続人である長男が亡くなっていたようなケースですね。この場合、代襲相続人である孫に遺留分は認められるのでしょうか?

答えは「認められる」です。

代襲相続人は、相続人の地位を遺留分もセットで全て引き継いでいるので、代襲相続人が遺留分を侵害された場合は、侵害した者に対して遺留分減殺請求をすることが出来ますよ。

ただし、遺留分は兄弟姉妹には認められていないので、兄弟姉妹の代襲相続人である甥・姪にも遺留分は認められません。分かりやすくするように、表でまとめておきましょう。

代襲相続と遺留分の関係

なお、代襲相続の際の遺留分については、被代襲者(=代襲相続をされる人)と同じになります。

代襲相続人が複数いる場合は、遺留分は頭割りして計算することになりますよ。

【まとめ表あり】代襲相続でも最低限は受け取れる!遺留分の考え方をチェック!

遺留分の計算方法(遺留分算定対象になる財産の特定)

電卓とノート

遺留分の割合は分かりましたが、そもそも遺留分の対象となる財産はどのように計算すれば良いのでしょうか?

これが分からないと、そもそも自分は遺留分を侵害されているのかを確かめることが出来ません。

この点、遺留分の対象となる財産は以下の通りとなっています。

  • 特別受益(*1)となる生前贈与(相続開始前10年以内のもの *2
  • 特別受益とならない生前贈与(相続開始前1年以内の贈与が対象)
  • 遺留分権利者に損害を与えることを知ってされた特別受益とならない生前贈与
  • 相続発生時の相続財産(負債は除く)
*1 特別受益とは婚姻・養子縁組・生計の資本として行われた生前贈与の事を言います。ただし、親族には通常扶養義務がありますので、扶養の範囲内で行われた贈与は特別受益に当たらない場合もあります。
*2 相続法(民法)改正以前は、特別受益にあたる生前贈与は期間に関係なく遺留分算定対象となっていましたが、今般の改正により相続開始前10年以内のものに限定されました。ただし、2019年7月1日より前に発生した相続に関しては従前の遺留分制度が適用されるので10年より前の分も遡ることになります。

図にすると以下のような感じとなりますよ。

遺留分の計算方法

参考:生命保険金や死亡退職金などは、基本的に遺留分の対象となる財産には含まれません。

ポイントは、被相続人が亡くなった時点で持っていた財産だけとは限らない、という点ですね。生前贈与でも、必要があれば持ち戻しの対象となります。

例えば、相続人が配偶者のみのケースで、相続発生時の財産が3億円(債務は5,000万円)、特別受益となる生前贈与が6,000万円あったとすると、

遺留分は{(3億円-5,000万円)+6,000万円}×1/2で、1億5,500万円となります。

【具体例付】遺留分の計算方法と割合をパターン別に解説
 

遺留分の放棄について(相続前後で手続きが異なる)

納得する女性

遺留分は、相続人自らの意思があれば放棄をすることができます。

遺留分の放棄は相続発生前か後のどちらで行うかによって、手続きが以下のように異なりますよ。

  • 【相続発生前】推定相続人が家庭裁判所に申し立てをして許可を得る
  • 【相続発生後】特に必要な手続きはない(放っておいてOK)

まず、被相続人の生前に遺留分の放棄をする場合は、家庭裁判所に申し立てをしなければなりません。

なお、相続発生前の遺留分の放棄は家庭裁判所に申し出れば無条件に認められるというものではなく、以下の3つの基準を満たしているか総合的に判断して決定されます。

  • ①遺留分権利者の自由な意思によって遺留分の放棄がされているか
  • ②遺留分の放棄の理由に合理性があるか
  • ③遺留分の放棄の代償が支払われているか

遺留分は法律によって定められている相続人の守られるべき権利ですから、

「あの子は家に寄り付かないし、家のことにも協力してくれないから遺産はあげたくない!」

といった単純な理由では認められないことを知っておきましょう。

【相続開始前に実施】遺留分の放棄とは?利用するメリットや許可が出る可能性について解説

一方で、相続発生後は特に何もする必要はありません。
あえて「私は遺留分を放棄します!」と他の相続人に伝えても構わないですが、「遺言の内容に反論しない=遺留分を放棄した」と言えるので、何もする必要がないのです。

遺留分侵害額請求で遺留分を取り戻す方法

判決のイメージ

遺留分は法律によって守られた権利ですが、遺留分を侵害するような遺言は作ってはいけないという意味では有りません。形式の要件を満たしているのであれば、その遺言自体は有効なものとして扱われます。

家庭によっては、そのような内容の遺言に対して不平・不満がでないこともありますからね。不満が出てこないのであれば、敢えて遺言を無効にする必要も無いのです。

従って、誰も文句を言わないのであれば遺留分を侵害した遺言も有効となりますよ。

しかし、一般的には相続人なのに相続する財産が少ない遺言を書かれたら納得いかないですよね・・・。

そこで、遺留分を侵害された相続人は、財産をもらい過ぎになっている相続人に対して、「遺留分を侵害しているので財産を返してください!」ということが出来るのです。

このように、遺留分を返してもらうように他の相続人等に対して請求する権利のことを、遺留分侵害額請求権(いりゅうぶんしんがいがくせいきゅうけん)と言いますよ。

参考:元々は遺留分減殺請求権だったのですが、相続法の改正により遺留分侵害額請求という言葉に変更されました。
従来、遺留分侵害額請求権を行使すると、遺留分を侵害した財産そのものを返してもらうのが原則だったのですが、不動産などが原因で遺留分を侵害している場合は対応が難しいですよね・・・。そこで、2018年の相続法(民法)改正により、遺留分に見合う金銭を支払えば済むことになりました。

なお、遺留分侵害額請求をする方法は特に決められていないので、口頭で「遺留分を侵害されているので返してください!」というのでも構いません。ただし、後になって言った言わないで揉めないために、通常は内容証明郵便で行います。

場合によっては相手が遺留分侵害額請求に応じてくれないケースも有るでしょう。その場合は、家庭裁判所を通して調停や訴訟をすることになりますよ。

遺留分侵害額請求とは?手続き方法・費用・請求時の注意点まとめ

遺留分侵害額請求の時効は1年が基本!

遺留分侵害額請求権はいつでも行使できるという訳でありません。

いつでも行使できるなんて事になってしまうと、相続が発生してから20年後に「そう言えば、あの時貰った財産が少なかったから返して!」なんてことも言えるようになってしまいます。そんな長時間経ってから返してくれって言われても困りますよね・・・。

そこで、遺留分侵害額請求権が行使できる期間は、以下の2つのうちいずれかとなっています(参考:民法1048条)

  • ①相続の開始or減殺すべき贈与や遺贈があったことを知ったときから1年
  • ②相続開始時から10年
1年か10年の時効

通常は、「相続の開始を知ったとき=被相続人が亡くなったとき」でしょうから、遺留分侵害額請求は被相続人の死亡から1年で時効になると考えておいたほうが良いでしょうね。

参考:厳密には減殺すべき贈与や遺贈があったことを知ってから1年なので、事実を知らなかったのであれば相続開始から1年以上経っていても行使できる可能性はあります。ただし、贈与等を知った時点について争いが起きやすいので、相続開始から1年以内に行使した方がいい、という意味です。

遺留分侵害額請求の時効は1年!!不利な遺言内容に納得してないなら権利が失効する前に請求しよう!

遺留分侵害額請求をするかどうかで迷ったら弁護士に相談してみよう

さきほど述べたように、遺留分侵害額請求の方法は特段定められていません。

ですので、相続人同士で交渉をするのでも全く問題ありません。しかし、どうにも揉めて話が進みそうにない・・・という場合には迷わず弁護士に相談しましょう。

知識のある専門家が交渉の場に立ってくれると、今まで進まなかった話が急にスムーズに進むという話も当然ありえます。

自分一人で対応していると、精神的な疲弊や費やす時間も膨大なものになりますから、費用はかかりますが自分自身のためにも相談してみると良いでしょう。。

【参考】特定の人間に相続させたくない場合はどうする?

バツを出す女性

上で見てきたように、遺言を作ると被相続人の自由に財産を分けることが出来ます。しかし、遺言によって遺留分を侵害することはできません()。

注:遺留分を侵害する遺言であっても、遺留分権利者が何も主張しなければなんの問題も発生しません。

また、生前贈与で相続させたくない人以外に財産を全て渡しておくという手も考えられますが、これも後で遺留分を主張されると意味がないです。

では、特定の相続人に財産を相続させたくない場合はどうすれば良いのでしょうか?

考えられる方法としては、以下の2つの方法があります。

  1. 遺言を書いた上で遺留分の放棄をしてもらう
  2. 相続人の廃除をする

まず①ですが、特定の相続人の取り分がゼロの遺言を作ります。
その上で、当該相続人に遺留分の放棄を生前のうちにしてもらいましょう。

そうすれば、この相続人は相続が発生しても財産を取得することはないですよ。

上で書いたように、遺留分の放棄をするにはそれに見合った財産を生前のうちに渡しておく必要がある点を忘れずに。

なお、相続人が兄弟姉妹の場合は遺言で財産が渡らないようにするだけでOK。
兄弟姉妹には遺留分がないので、遺言で取り分をゼロにしておけば文句をいうことは出来ません(代襲相続の際の甥・姪も同様)。

次に、②の相続人の廃除をすることでも、特定の相続人に相続をさせないようにできます。相続人が被相続人に対して虐待をしていたり、重大な侮辱を与えたような場合は、家庭裁判所に申し立てすることで、当該相続人の相続権を奪うことが出来るのです。

ただし、単に仲が悪いからや嫌いだからといった理由では廃除は認められないので注意が必要ですね。

参考:廃除が認められても、その相続人が相続発生までに亡くなり代襲相続となった場合、代襲相続人は財産を相続する権利があります。

ちなみに、相続放棄をして貰うという方法も考えられますが、相続放棄を生前にすることは出来ません。相続放棄をするようにお願いしていたとしても、相続発生後に本当に相続放棄をしてくれるかは分からないので、確実な方法とは言えないですよね。

このように、特定の相続人に対して相続させない方法は限られていますが、どうしても相続させたくないのであればしっかりと生前のうちから対策をしておく必要があります。放っておくと相続されてしまうので、忘れずに対策をしましょうね。

最後に

相続人に保障された最低限の相続分である遺留分について見てきました。

愛人に全財産を遺贈するといった極端な内容の遺言になっていたり、生前のうちに財産のほとんどを贈与していて相続開始時点で財産が無かったというようなケースで、遺留分は力を発揮します。

遺留分を侵害されている場合、遺留分侵害額請求権を行使することになるのですが、時効があるので忘れずに期限内に行使するようにしましょうね。

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