相続で取得した不動産に不動産取得税はかからない!ただし贈与はかかるよ。

投稿日
2020年01月10日
更新日
2020年05月10日
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不動産取得税は非課税

「相続で不動産(土地・建物)を取得した場合でも不動産取得税ってかかるの?」
「相続時精算課税制度で不動産を取得した場合はどうなるの?」
 

不動産を取得してから手放すまでの間には、登録免許税や印紙税、固定資産税、都市計画税、譲渡所得税など様々な税金がかかります。

不動産を取得したことで課税される不動産取得税もその1つですね。

では、相続で不動産を取得した場合にも、この不動産取得税は課税されるのでしょうか?相続時には何かとお金がかかるので、気になるところですよね・・・。

こんにちは。相続税を専門に取り扱っている税理士法人ファンウォール、税理士の山中です。

結論を言いますが、相続で取得した不動産に不動産取得税がかかることはありません。また、県税事務所等への申告も不要です。

ただし、相続時精算課税制度を利用した場合や法定相続人以外の人が特定遺贈によって取得した場合には、不動産取得税がかかります。

他にも注意点がありますので、この記事では”相続と不動産取得税の関係”について、詳しく見ていきますね。

ポイントは以下の通りです。

  • 不動産取得税は、土地や家屋の取得時に一度だけ課税される!
  • 不動産を相続で取得した場合は、不動産取得税は課税されない!
  • 相続時精算課税制度で不動産の贈与をした場合は課税される!
  • 遺産分割をやり直すと、不動産取得税が課税される!

では、一緒に見ていきましょう。

不動産取得税とは?

電卓と不動産

不動産取得税とは、売買や贈与、交換、建築などによって不動産(土地や家屋)を取得した際に不動産の取得者に対して課税される税金です地方税法第73条の2

毎年不動産の所有者に対して課税される固定資産税とは違って、不動産取得税は取得時に一度だけ課税されます。

参考:不動産とは土地及び家屋のことを指しており、土地に定着した工作物や立木などは課税の対象になりません。

不動産を取得したことに対して課税されるものなので、登記の有無や取得に要した価格、不動産を持っていた期間に関係なく課税されます。

従って、極端な話、「土地をただで贈与されて貰った翌日に他に売却した」というようなケースでも不動産取得税は課税されますよ。

なお、不動産を取得した場合、取得の日から60日以内に管轄の県税事務所等に不動産取得申告書を提出する必要があります。これを怠ると、不動産取得税の軽減措置や免除の措置が受けられなくなる可能性があるので、期限内の申告を忘れないようにしましょうね。

ただし、実務的には県税事務所から送られてくる書類に必要事項を記入して返送することで「申告」となるケースが多いようです。また、不動産取得税の納税通知書が届くのは、不動産取得から数カ月後が普通です。

不動産取得税の税率・金額

ちなみに、不動産取得税の税率は「固定資産税評価額の3%」とされています。

標準税率は4%ですが、土地及び住宅については平成15年4月1日~令和3年3月31日までに取得したものに限り、3%に軽減されていますよ。(参考:地方税法第73条の15地方税法附則第11条の2)

また、宅地(住宅用の土地)に関しては、令和3年3月31日までに取得したものに関してはその課税標準額が2分の1になる特例があるので、実質的な不動産取得税率は1.5%となっています。(参考:地方税法附則第11条の5)

建物が新築の場合、不動産取得税は「(固定資産税評価額-1,200万円)×3%」となります。また、中古建物に関しては、築年数によって固定資産税評価額から100万円~1,200万円の控除がされますよ(いずれも床面積50平米以上240平米以下が対象)

その他、免税点や特例等の詳細はお住まいの都道府県のホームページを御覧ください。
参考までに大阪府の不動産取得税の案内ページへのリンクを載せておきますね。

大阪府/不動産取得税

不動産取得税は不動産の相続時には非課税!

不動産と税金

不動産を売買や贈与などによって取得したときに課税される不動産取得税ですが、不動産を相続した場合でも不動産取得税は課税されるのでしょうか?

答えは「No」です。
相続で不動産を取得しても、不動産取得税は課税されません地方税法第73条の7第1号)

なぜなら、不動産取得税は生きている人や法人等から不動産を取得したときに課税されるものだからです。

相続が原因で不動産を取得した場合は、既に亡くなっている人から不動産を引き継ぐことになるので、どれだけ価値のある不動産だろうと不動産取得税が課税されることはありません。

相続は意図的に発生するものではなく、望むと望まざるとに関係なく自動的に相続が発生するものであり、意思なく取得することになった不動産に対して取得税を課すのは酷ですよね。

そこで、相続によって不動産を取得した場合は、不動産取得税が課税されないようになっているのです。

相続によって不動産を取得した場合は不動産取得税がかからないですが、遺言によって法定相続人以外の方が「特定遺贈」を受けた場合は、不動産取得税が課税されますよ(例:相続人ではない孫が、遺言によってマンションの1室を取得したようなケース)。

なお、参考までに、相続以外にも以下のようなケースでは不動産取得税は非課税となります(一部抜粋)

  • 法人の合併又は一定の分割による不動産の取得
  • 学校法人、宗教法人などが本来の事業に用いる不動産の取得
  • 土地改良事業、土地区画整理事業の施行に伴う換地の取得
  • 公共の用に供する道路などの用地の取得

【参考】相続・包括遺贈・特定遺贈による不動産取得税の課税・非課税のまとめ

ここで簡単に取得原因別に不動産取得税がかかるか・かからないかをまとめておきたいと思います。

  • 相続で取得・・・非課税
  • 包括遺贈で取得・・・取得者が相続人であれ相続人以外であれ非課税(注)
  • 相続人が特定遺贈で取得・・・非課税
  • 相続人以外が特定遺贈で取得・・・課税

遺贈とは簡単にいうと、遺言によって相続人等に相続財産を与える行為のことを言います。

遺贈には、特定遺贈と包括遺贈があり、特定遺贈とはたとえば「A市の土地を◯◯に遺贈する」のように財産を特定して渡す行為です。一方で、包括遺贈は「財産の4割を◯◯に遺贈する」のように包括的に財産を渡す行為です。

相続・包括遺贈であれば不動産取得税は発生しませんが、「特定遺贈×相続人以外が取得」の場合には例外的に不動産取得税が課税されるので注意してくださいね。

注:そもそも相続人に対する包括遺贈という概念は有りません。相続人に対する包括遺贈は指定相続分として取り扱われるのですが、分かりやすくするために敢えてこのように表現しています。

【注意】相続時精算課税制度を使うと不動産取得税が課税される!(贈与だと不動産取得税がかかる!)

不動産の贈与にかかる税金

相続時精算課税制度は、60歳以上の父母や祖父母から子や孫に贈与をする際に、2,500万円まで贈与税が非課税となる制度です相続税法第21条の12

普通に親から子等に贈与をしてしまうと、最高税率が55%と多額の税金を納税しないといけなくなるのですが、相続時精算課税制度を使うと2,500万円までは贈与税が非課税となり、2,500万円を超えた分についても、一律20%の贈与税を納付すれば済みます。

実際に相続が発生した際に、贈与した財産を相続財産に含めて相続税を計算し、生前に収めた贈与税を精算することになります。

贈与税を抑えながらも、早い段階での財産の移転が可能となるので人気のある制度ですね。

【事例あり】相続時精算課税制度を利用して贈与税を申告する場合の方法と必要書類を徹底解説!【記事未了】

この相続時精算課税制度は、相続という言葉が制度名入っているため勘違いしがちですが、その性質は贈与です。

従って、相続時精算課税制度を使って贈与をした場合は、不動産をもらった方に不動産取得税が課税されるので注意が必要ですね。

念の為ですが、普通の贈与でも不動産取得税は発生しますよ。例外的に取得税が発生しないのは「相続」の場合だけと覚えてください。

【注意】相続登記後に遺産分割のやり直しをした場合も不動産取得税は課税される!

遺産分割のイメージ

相続が発生して遺産分割協議が完了すると、通常はそこで遺産分割については確定するので、やり直しをすることは基本的に認められていません。

ただし、分割の内容に明らかな間違いがあった場合や新たに相続財産が発見されたような場合は、相続人全員が合意をするという条件付きで、遺産分割をやり直すことができます(これを「合意解除」と言います)

参考:遺産分割調停や遺産分割審判のように、家庭裁判所が遺産分割に関わっている場合は、特別な事情がない限りやり直しはできません。また、代償分割による分配に相続人が応じないなど、相続人の債務不履行を理由に合意解除することもできないとされています。

遺産相続のやり直しは可能!ただし注意点あり

では、一度遺産分割協議がまとまり、相続登記をした後で遺産分割をやり直した場合、不動産取得税はどうなるのでしょうか?

この点、一度遺産分割が行われると、その時点で相続は完了したものとして扱われるので、その後に遺産分割をやり直して財産が移動した場合は、相続ではなく「贈与または譲渡」とみなされ課税されます。

この点については、相続税法基本通達19-2-8でも以下のように記載がありますよ。

当初の分割により共同相続人又は包括受遺者に分属した財産を分割のやり直しとして再配分した場合には、その再配分により取得した財産は、同項に規定する分割により取得したものとはならないのであるから留意する。

従って、遺産分割をやり直した場合、原則として不動産取得税は課税されることになります。

なお、一度遺産分割協議に基づいて不動産登記をしたあとで、税務職員からの配偶者の税額軽減を有効利用したほうが良いというアドバイスに基づいて、再度遺産分割をした際に、再分割も相続による取得として認められたケース(最初の分割から3ヶ月後に再分割)もあります最高裁昭和62年1月22日判決

不動産取得税の賦課処分が取り消された事例です。

ただし、これはあくまでも例外で基本的には遺産分割のやり直しは不動産取得税が課税されます。

軽い気持ちで遺産分割をやり直すのは避けるようにしましょうね。高額な贈与税や不動産取得税が課税されて大変なことになりかねないですよ!

【参考】不動産を相続した際の登録免許税はどうなる?

相続不動産の登記

上で見てきたように、不動産取得税は相続時には課税されませんが、登録免許税は課税されます。

税率は土地・建物ともに固定資産税評価額の0.4%です。

参考:売買等をしたときの登録免許税が固定資産税評価額の2%なので、かなり優遇はされていますが、ゼロではありません。

なお、平成30年4月1日以降、1次相続時の相続登記をせずに2次相続を迎えた方が相続登記をする場合、1次相続時の登録免許税が免税となる特例措置を受けることができますよ。

過去に相続登記をせずに放ったらかしにしていた方は、これを機に登記をすると良いでしょう。

【免除要件あり】相続登記にかかる不動産の登録免許税の計算方法

まとめ

相続で不動産を取得した際の不動産取得税の取扱について見てきました。

原則として、不動産を相続した場合には不動産取得税は課税されません。

ただし、相続時精算課税制度を利用した贈与や、法定相続人以外の方が特定遺贈によって不動産を取得した場合など、不動産取得税が課税されるケースもあります。

相続ならどんなケースでも不動産取得税が課税されない、と思い込んでいると突然高額な不動産取得税が課税されて驚く可能性があるので、しっかりと理解しておきましょうね。

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