印鑑証明書が必要な相続手続きは4個!必要枚数や有効期限などもまとめて紹介!

投稿日
2020年03月03日
更新日
2020年03月03日
procedure

印鑑登録証明書

「相続手続時に印鑑証明書が必要って言われたけど、何に使うの?何通あればいいの?」
「昔に取得した印鑑証明書があるんだけど、これって使えないの?」

税理士法人ファンウォール、税理士の山中です。相続税のことなら任せてください!

相続が発生し、名義変更などの手続きをする際に、他の相続人から「手続きに必要だから印鑑証明書と実印を用意しといて」と言われるケースがあります。

印鑑証明書は日常生活であまり使うことがないものなので、取扱いに慎重になる方も多いでしょう。

「何に使うのかな・・・」「悪用されたりしないかな・・・」と不安になりますよね。

参考:実印だから注意しないといけない、という訳ではありません。認印だったとしても押印時には注意が必要ですよ。

相続手続きの中で印鑑証明書が必要になるのは大きく4種類です。

ここでは相続税を専門に取り扱っている税理士である私が、印鑑証明が必要となる相続手続きについて分かりやすく解説していきたいと思います。

大事なポイントは以下の通りです。

  • 相続手続きで印鑑証明が必要になるのは主に4回
  • 原本の提出が必要だが、申し出れば後で返してもらえる
  • 印鑑証明書は1通でも手続きできるが、3通あるとスムーズ!
  • 相続手続きの場合、印鑑証明書の期限は緩め!

では、詳しい内容を一緒に見ていきましょう。

印鑑登録・実印・印鑑証明書とは?

印鑑と朱肉

印鑑証明書はあまり取得する機会が無いと思うので、簡単に定義をまとめておきます。
それぞれの言葉の意味は以下の通りです。

  • 印鑑登録・・・「届け出た印鑑(登録された印章)が自分のものである」「本人が当該印章を保有している」という事を証明する制度のこと
  • 実印・・・印鑑登録時に役所に届け出た印鑑のこと
  • 印鑑証明書(印鑑登録証明書)・・・登録されている印鑑が本物であることを証明する書類(氏名や生年月日・住所なども一緒にプリントされる)

印鑑証明書のサンプル
(画像参照元:「印鑑登録証明書・住民票の写し・住民票記載事項証明書」の様式が変わります(平成27年6月)/米子市ホームページ

参考:印鑑登録は15歳以上になれば自分ですることができます。

要は「このハンコの印影は、確かに私のものです」ということを証明する書類が印鑑証明書ですね。

実印と印鑑証明書をセットにして提出すると「本人の意思に間違いない」、という強い証明になります。

実印や印鑑証明書が必要となるのは、主に以下のようなケースですよ。

  • 不動産の売買時
  • 自動車の売買時
  • 公正証書の作成時
印鑑登録をしたハンコを一般的に実印と呼ぶのであって、実印という名のハンコが売っている訳でないですよ。

印鑑証明書は、住民票登録のある市区町村役場で発行してもらう事ができます(印鑑登録カードが必要)。他にも自動交付機が設置されている場所や、マイナンバーカードがあればコンビニでも発行することが可能です。

参考:印鑑登録カードがあれば、代理でも印鑑証明書を取得することができます。基本的に委任状も不要。

相続で印鑑証明が必要な手続きは4個!

相続手続きの場面で印鑑証明が必要となるのは、以下の4つです。

  • ①遺産分割協議をするとき
  • ②不動産の相続登記時
  • ③金融機関での名義変更等の相続手続き時
  • ④相続税の申告をするとき

一つずつ内容を見ていきましょう。

①遺産分割協議をするとき

遺産分割協議書

相続が発生し、遺産分割協議をする場合は相続人全員の印鑑証明書が必要となります。

しかし、遺産分割協議は必ず開催しないといけないという訳ではありません。

相続人の数や遺言の有無によって、遺産分割協議の必要性も変わってきますよ。それらの違いによって印鑑証明書の有無をまとめると以下のようになります。

類型遺産分割協議印鑑証明
相続人が1人不要不要
相続人が複数&遺言なし必要必要
相続人が複数&遺言あり不要不要

相続人が1人しかいない場合、その相続人が全ての財産を取得することになるので、遺産分割協議をする必要がなく印鑑証明書も不要です。

遺言書

一方で、相続人が複数いる場合は被相続人(=亡くなった人)が遺言を残していたかどうかで異なります。

遺言が残されている場合、相続人は遺言の内容に沿って財産を分けるので、遺産分割協議をする必要はありません。従って、印鑑証明も不要です。

遺言が残されていない場合は、相続人は遺産分割協議を開き、全員で話し合って誰が何を相続するのかについて決めなければなりません。

話し合った結果については、後々言った言わないで揉めないためにも遺産分割協議書としてまとめ、最後に相続人全員が署名押印をすることになっています。

そしてこの遺産分割協議書に押印する印鑑は、実印である必要があります!

参考:認め印を押してしまうと、後々作り直しになったりと面倒なので必ず実印で押印するようにしましょうね。

また、その押印が実印であることの証明として、相続人全員の印鑑証明書を遺産分割協議書に添付することになります。

民法等の法律上、遺産分割協議書に実印が必要という規定は特にありません。では、なぜ実印が必要なのかというと、後述する登記や金融機関等の手続きで実印を押した遺産分割協議書が求められているからですね。

なお、悪用されるケースがないとも言い切れないので、よほど信頼できる間柄でない限り、遺産分割協議書に押印するまでは実印や印鑑証明書を不用意に預けるのは避けた方がいいでしょう。

②不動産の相続登記(名義変更)時

相続した不動産

相続財産に不動産があった場合、相続登記をして名義変更をすることになりますが、法務局に登記申請する際にも印鑑証明書が必要となります。

なお、不動産を取得する相続人だけでなく、相続人全員の印鑑証明書が必要なので要注意。

例外として、以下の場合は印鑑証明書は不要です。

  • 相続人が1人
  • 相続人は複数だが遺言書がある
  • 調停調書・審判書がある

③金融機関での名義変更等の相続手続き時

金融機関に預貯金口座を持っていない被相続人はほとんどいないでしょう。

預貯金の口座名義人が亡くなり、金融機関が相続の発生を知った時点でその口座は凍結され、相続人がお金を引き出したりすることは出来なくなります。

口座の凍結を解除して預金を払い戻すには、相続手続きが必要となるのですが、その際に相続人の印鑑証明書が必要となります。

誰の印鑑証明書が必要になるかは、以下の通り。

類型印鑑証明書が必要な人
遺言が残されている預貯金を相続した人
相続人が1人預貯金を相続した人
遺産分割協議をした相続人全員
家庭裁判所で調停・審判をした預貯金を相続した人

死亡した家族の銀行預金の引き出し・解約手続きの方法。遺産相続との関係も。【記事未了】

なお、保険会社から死亡保険金を受け取る際にも、受取人の印鑑証明書が必要となりますよ。

④相続税の申告をするとき

相続税の申告書を税務署に提出する際にも印鑑証明書は必要です。

これは、国税庁のホームページでも書かれています。

(参考)相続税の申告の際に提出していただく主な書類-国税庁

国税庁のホームページでは「提出をお願いしている資料です」と書かれていることから、提出しないと罰則がある訳ではありません。ただし、添付せずに提出すると「提出してください」と言われるでしょう。

なお、相続税の申告書に実印を押すというわけではありません。

申告書提出時に印鑑証明書の提出が求められるのは、あくまでも遺産分割協議書に押した実印が相続人のものだということを証明するためです。従って、申告書に押印するのは認印でも構いません。

ちなみに、相続税の申告時に必ず印鑑証明書が必要というわけではなく、必要かどうかの判断は上で書いた遺産分割協議の際と同じ感じになります。

類型遺産分割協議印鑑証明
相続人が1人不要不要
相続人が複数&遺言なし必要必要
相続人が複数&遺言あり不要不要

印鑑証明は3通あるとスムーズに手続きが進む!

3を出す女性

必要な手続きは4つと書きましたが、印鑑証明書が4通いるか?というと、実はそうではありません。

少なく済ませようと思えば、最低1通あれば全ての手続きをすることができます。

なぜなら、基本的に金融機関や法務局に提出する印鑑証明書は、原本還付(げんぽんかんぷ)といって、予め伝えておけば手続き終了後に返してもらうことができるからです。

税務署だけは提出後返してもらうことができないですが、それ以外の手続きは1部あれば使い回しができます。

具体的には、「遺産分割協議→法務局・金融機関(順不同)→相続税申告」の順番ですれば1通でも可能です。

参考:遺産分割協議時には印鑑証明書が必要ですが、それを他の手続きで使うことは可能。

ただし、相続税の申告期限は相続発生から10ヶ月と決まっています。節約しようと1通だけで使いまわしをしていると、返却されるまで次の手続きができず、申告期限に間に合わなくなりかねません。

余裕をもって手続きをするためにも、3通は用意しておきたいとこですね。

提出する印鑑証明書には有効期限があるものも【相続登記・申告書は特に期限なし】

砂時計とカレンダー

一般的に、印鑑証明書を役所等に提出する場合、発行後3ヶ月以内や6ヶ月以内といった期限が設定されていることが多いですよね。

しかし、相続手続きでは以下のように期限が緩やかとなっています。

遺産分割協議書特に決まりなし
金融機関金融機関によって異なる(3ヶ月・6ヶ月)
相続登記(法務局)特に決まりなし
相続税申告書(税務署)特に決まりなし

相続手続きはスムーズにいかないときもあるので、厳しい期限を設けてしまうとせっかく取った印鑑証明書が取り直しになってしまいますからね。

なお、有効期限以外にも「被相続人が亡くなった日以降に取得したもの」であることを求められるケースが多いので、相続発生前に取った印鑑証明書は使わずに、取り直した方が良いでしょう。

最後に印鑑証明書を取得したとき以降、実印が変わってしまっている場合は、印鑑証明書の取り直しが必要ですよ。

実印(印鑑)登録がない場合、相続手続きはどうすればいい?

印鑑セット

上で紹介して来たように、相続手続きをする過程で実印が必要となるケースが色々あります。

しかし、中には以下のように印鑑登録をしていない方もいるでしょう。

  1. 過去に一度も実印が必要な手続きをしたことがない
  2. 幼児等で意思能力がないので印鑑登録ができない
  3. 海外居住者

「印鑑登録をしていない場合は印鑑証明書は不要」ということにはなりません。
それぞれ以下のような対応が必要ですよ。

①印鑑登録をしたことが無い人

まず、①の過去に実印を使ったことがなく印鑑登録をしていない方の場合。
この場合は、印鑑登録をするしか方法はありません。役所にいって印鑑登録を済ませた上で印鑑証明書を発行してもらいましょう。

なお、後述セクションで「実印を作るときの注意点」をまとめているのでそちらを参考に実印を作ってみて下さい。

②幼児等で意思能力がない

次に、②の幼児等で意思能力がないケースです。意思能力の無い方(被成年後見人等も含む)は印鑑登録をすることができません。

意思能力がない相続人の場合、法定代理人(親権者や成年後見人等)が代わりに手続きをすることになるので、法定代理人の実印と印鑑証明書が必要となります。

参考:法定相続人に未成年者がいる場合は、特別代理人が代わりに遺産分割協議に参加します。そのときは特別代理人の実印と印鑑証明書が必要。

③海外居住者の場合

日本に住民票が無い海外在住者は日本で印鑑証明書を発行することが出来ません。

このような場合にはお住まいの地域の日本国大使館・領事館などでサイン証明書を取得しましょう。コレを持って印鑑証明書とすることが可能ですよ。

なお、日本国籍のある海外在住者の場合には大使館等で印鑑登録を行い、印鑑登録証明書を発行してもらうことも可能だそうです(参考:海外在住で印鑑登録証明書などが必要なときは-国民生活センター)。

日本に住んでいる相続人と連絡を密にとり、必要に応じて求められる書類を取得していくと良いでしょう。

相続放棄の手続きには、実印や印鑑証明書は不要!

被相続人に借金が多かった場合など、相続放棄をするケースがあります。

その際、家庭裁判所で相続放棄の申述をすることになりますが、相続放棄の手続きでは印鑑証明書が必要になることはありません。

他の相続人から「相続放棄の為に印鑑証明書が必要」と言われたら、「相続放棄には印鑑証明は不要のはずでは?」と確認してみた方がいいでしょう。

遺産分割協議の結果、財産を相続しないことを「相続放棄」と呼ぶ方も多いので、混同しているのかもしれないですけどね。(関連記事:ややこしい!相続放棄・遺産放棄・遺留分の放棄・相続分の放棄の違いとは?

印鑑証明書を渡す際に、ペンで「不動産の相続登記用」や「相続税申告用」といった感じに用途を書いてから渡すというのもありですね。そうすれば、仮に相続人が違う用途に使おうとしても、役所が疑問に思って止めてくれるかもしれないですよ。

【参考】実印を作る際の注意点

実印を持っていない(印鑑登録をしていない)方は、相続手続きをする前に用意しておく必要がありますが、実印作成にあたってはいくつか注意点があります。

実印作成にかかる時間を考慮する

カレンダーと鉛筆

実印は、ハンコ屋さんに行って注文すればすぐに作ってくれるというものではありません。おおよそですが、平均すると3~4日くらいかかることが多いです。

特に手彫りをしているお店の場合は、注文してから納品までに2週間程度かかることもあります。

何日かかかることを前提に、余裕をもった注文をするようにしましょうね。

ネットのハンコ屋さんで注文すると、最短で即日発送してくれることもあります。なんとしてもすぐに入手したい場合は、ネットで注文するのもいいでしょう。

実印はフルネームで作る!

住民票に登録している姓名と一致するのであれば、姓と名のどちらかだけでも問題なく印鑑登録をして、実印として使うことが可能です。

ただし、どちらか片方だけにしてしまうと、同じ名字や名前の人の実印と印影が似る可能性が高くなります。

他の人の印影と似ていないことが実印のセキュリティを高めることに繋がるので、特に理由がない限りはフルネームで実印を作った方がいいでしょう。

頑丈な材質を選ぶ

実印は普段あまり使わないですが、必要となるのは不動産購入時など大事な場面です。従って、頑丈な素材で実印を作ったほうがいいでしょう。

素材が柔らかすぎると、いざ使おうと思ったときにハンコが欠けていたりして、印影と印鑑証明書とが微妙に異なり使えない、という事になりかねません。

実印に適している頑丈な材質としては、チタンや黒水牛、象牙などがあります。ただし、頑丈なものは値段も高くなりがちなので、そこは財布と相談して決めましょうね。

書体は複雑なものを選ぶ!

複雑な書体の印影

実印は偽造されると大変です。不動産登記や自動車の売買等で使いますからね。

そこで、簡単に真似できない印影にしておく必要があります。

実印として人気のある複雑な書体は「印相体(いんそうたい)」や「篆書体(てんしょたい)」です。他にも複雑な書体はあるので、好みで選ぶといいですね。

業者がいくつか指定しているところもあるので、その場合はその中からできる限り複雑なものを選びましょう。
参考:自治体によっては、100円ショップに売っているような三文判でも印鑑登録ができることがあるようです。ただし、仮に出来たとしてもしない方がいいですけどね。

ハンコのサイズに注意!

各自治体によって異なるのですが、実印として印鑑登録のできるは印鑑のサイズは決められています。

例えば、東京都新宿区の場合、印鑑登録できない印影として以下のような決まりがあります。

印影の大きさが、一辺の長さ8mmの正方形に収まるもの、または一辺の長さ25mmの正方形に収まらないもの

せっかくハンコを作ったのに印鑑登録が出来ないとなるともったいないので、サイズ制限については予め調べておくようにしましょうね。

まとめ

相続手続き時に必要となる印鑑証明書について見てきました。

普段あまり使わない印鑑証明書ですが、相続手続きでは大活躍します。悪用されると大変なことになりかねないので、取り扱いは慎重にしましょうね。

自分は印鑑証明書がどの手続で何部必要になるのかを、事前にきちんと把握しておくといいでしょう。

また、過去に実印を使ったことがなくて印鑑登録をしていないという人は、日常生活で使うことがなくても相続時には必要になるので、今のうちに印鑑登録しておくことをオススメします。

なお、最後にちょっとした補足ですが、法定相続情報証明制度によって役所等に提出する戸籍謄本の枚数を軽減することができますが、この制度を利用しても、印鑑証明が必要な点については変わらないですよ。

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