二次相続の方が怖い!一次相続と合わせた納税対策が大事です!

投稿日
2019年09月19日
更新日
2019年09月19日
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二次相続の重要性

「一次相続よりも二次相続の方が大事!って聞いたけど、どういうこと?」
「今回の相続では相続税をできるだけ払いたくないと思っているけど、それじゃダメなの?」

こんにちは。相続税を専門に取り扱っている税理士法人ファンウォール、税理士の山中です。

2015年の相続税改正により基礎控除の額が引き下げられ、今までお金持ちにしか関係ないと考えられていた相続税が、一般の家庭でも納税しないといけない時代がやってきました。

相続が発生したときに、「相続税を払いたくない!」というのは誰もが思うことでしょう。家族がせっせと貯めた財産が、亡くなったことによって税金として徴収されてしまうのですからね・・・。

しかし、目先の相続税をなんとか払わずに済ませようとばかり考えていないですか?
相続税に関して言うと、大事なのは一次相続よりもその後に訪れる二次相続のほうです。

二次相続もセットで納税対策をしないと、結果的に多額の相続税を払わないといけなくなる可能性がありますよ。

そこで、ここでは二次相続を考慮した相続の必要性について、相続税専門税理士の私が分かりやすく解説していきますね。

ポイントは以下の通り。

  • 二次相続では配偶者の税額軽減が使えない!
  • 二次相続では一次相続よりも法定相続人が減る!
  • 一次相続での相続割合がトータルの相続税額に大きな影響がある!
  • 相続割合以外にも二次相続のために出来る対策はある!

では、一緒に見ていきましょう。

二次相続とは?一次相続とは何が違う?

そもそも、二次相続(にじそうぞく)とはどういう意味なのでしょうか?

まず、一次相続とは、両親のどちらか片方が亡くなった後で、配偶者と子供が相続人になることをいいます。そして、二次相続は「一次相続で相続人となった配偶者が亡くなり、子供だけが相続人となること」です。

二次相続のイメージ画像

例えば上の図のように、夫婦と子供2人という家族で夫が亡くなった場合。
一次相続では妻と子供2人が夫の財産を相続し、二次相続では妻(母親)の財産を子供2人が相続族することになりますよ。

では、「一次相続と二次相続の違いは何なの?」と言うと、それは「配偶者の有無」と「法定相続人の数」ですね。

一次相続では法定相続人が妻と子供2人の計3人いたのが、二次相続では子供2人だけとなっています。この違いが相続税ではとても重要なのです!

実務では、三次相続や四次相続といった言葉も登場しますが、これは数次相続といって別のお話になるので、「難解な”数次相続”を図解でマスター!遺産分割協議書の作り方も事例で紹介」を参考にしてください。

なぜ二次相続が一次相続よりも大事なの?

二次相続とは何かについて見てきましたが、なぜ相続税を考える上では一次相続よりも二次相続が大事と言われるのでしょうか?

ポイントは以下の3つです。

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

二次相続では基礎控除が少なくなる!

上で紹介した二次相続の例について、もう一度図を見ておきましょう。

二次相続のイメージ画像

この家族の場合、一次相続では法定相続人が3人いたのですが、二次相続では2人に減っていますよね。

法定相続人が減るとどうなるかというと、基礎控除が減るのです。

相続財産が「基礎控除以下」の場合は相続税がかかりません。
その基礎控除が減るということは相続税がかかりやすく、相続税が高くなることを意味しています。

基礎控除は以下の計算式で算出されます。

基礎控除の計算式

上の例では、

・一次相続の基礎控除額は4,800万円(=3,000万円+600万円×3人)
・二次相続の基礎控除額は4,200万円(=3,000万円+600万円×2人)

となります。つまり、それだけ相続税がかかりやすくなるということですね。

また、他にも死亡保険金や死亡退職金といったみなし相続財産に適用される非課税枠も、法定相続人が減ることによって減額されることになります。

死亡保険金の非課税枠=500万円×法定相続人の数
死亡退職金の非課税枠=500万円×法定相続人の数

このように、法定相続人が減ることによって相続税がかかる可能性は高くなるのです。

通常、一次相続で配偶者が相続をして相続税を払った場合、二次相続でも相続税が発生する可能性が高いので、基礎控除等の額が少なくなると、それだけ相続税の額も高くなってしまいますよ。

配偶者の税額軽減が使えるのは一次相続だけ!

計算機とお金

一次相続だと、相続税を払いたくないのであれば、配偶者が財産をたくさん相続するようにすれば、多くの家庭の相続税はゼロになるでしょう。

なぜなら、配偶者の税額軽減(配偶者控除)という大きなインパクトのある特例が相続税には用意されているからです。

相続税の配偶者控除とは?1億6千万円まで税金がかからない!ただし落とし穴あり。

配偶者の税額軽減とは、共に財産を築き上げてきた夫婦の相続発生後の生活資金を守るなどの理由で設けられた税額軽減規定で、配偶者が相続した相続財産のうち「1億6千万円までもしくは法定相続分までは相続税がかからない」というものです。

配偶者の計算式

例えば、配偶者と子供2人が相続人のケースで相続財産が1億5千万円だった場合、配偶者が財産を全て相続すれば相続税はゼロとなります。

「相続税を払わなくて済んだので一件落着!」

と言いたいところですが、それで本当に良いのでしょうか?

実は、二次相続での失敗の最も代表的なのが、配偶者の税額軽減を目一杯使った事によるものなのです!

簡単なシミュレーションをしてみましょう。

シミュレーションの前提

一次相続で父が亡くなり相続人は母と長男・次男。
二次相続で母が亡くなり相続人は長男と次男。

父の相続財産は1億5千万円、母親固有の財産は無しとします。

一次相続で配偶者の税額軽減をフル活用した場合、一次相続と二次相続(二次相続は法定相続割合で分割)での相続税は以下の通り。

<<一次相続時点>>

相続人/項目相続財産税額
配偶者1億5千万円0円
長男0円0円
次男0円0円
合計1億5千万円0円

一次相続では、配偶者の税額軽減を使ったので相続税はゼロです。

<<二次相続時点>>

相続人/項目相続財産税額
長男7,500万円920万円
次男7,500万円920万円
合計1億5千万円1,840万円

しかし、二次相続が起きたときは配偶者の税額軽減を使うことができないので、基礎控除後の相続財産に対してそのまま相続税が課税されてしまいます。

これだと、単に相続税の納税を先延ばしにしただけですよね・・・。

このように、二次相続では配偶者の税額軽減が使えないということを頭に入れておく必要があるのです。

二次相続を踏まえて財産配分をした税額シミュレーション結果は後述

二次相続では小規模宅地等の特例が使えないかも!?

小規模宅地の特例

一般的に、夫婦は同じ家に住んでいることが多いですよね。

同じ家に住んでいるのに、相続が発生したからと言って自宅不動産に相続税をかけるのは酷な話です。残された配偶者としては、特に生活の状況が変わるわけではないですからね・・・。

そこで、被相続人の自宅不動産に引き続き住み続ける相続人がいる場合、その自宅不動産の土地の評価額を80%減額することのできる、“小規模宅地等の特例”という制度が用意されています。

小規模宅地等の特例とは?自宅の評価が8割減で大幅節税だが、落とし穴に要注意。【記事未了】

配偶者が居住用不動産を相続する場合は、一緒に住んでいなくても特例の適用ができますよ。
小規模宅地の特例を使用した場合の相続税評価額のイメージ

土地面積が330㎡までの部分にしか適用できない制限はありますが、仮に1億円の土地があった場合は2,000万円まで評価額を下げることができるのです!

これはかなりインパクトが大きいので、ぜひとも使いたい特例ですよね。

ただし、上で書いたように、小規模宅地の特例は同居の親族が相続した居住用不動産に引き続き住み続けることが前提となる特例です。

子供が親と同居しているのであれば利用できますが、既に親元を離れて独立しているような場合は、基本的に利用することが出来ません。

注意:親と一緒に住んでいないと絶対に特例が使えないという訳ではありません。条件を満たせば、別居していても適用が可能なケースもあります。

その結果、親子別居の場合は二次相続では親の住んでいた居住用不動産を本来の相続税評価額で相続しなければならず、相続税が高くなってしまうのです。

【補足】二次相続では揉めやすい!?

上では相続税の観点から二次相続の重要性を解説してきましたが、相続税以外でも二次相続は大事ですよ。

なぜかというと、二次相続で揉めるケースが多いからです。

揉める家族

一次相続では、夫婦のうち片方が亡くなるので介護問題や遺産分割で揉めることはあまり無いでしょう。

通常は夫婦で介護をしている(もしくは施設に入居している)でしょうし、相続財産についても配偶者にある程度の決定権があるからです。

しかし、実際に二次相続が起きた際には子供だけで遺産分割協議をする必要があります。

兄弟仲が良くて、平等に財産を分割できればいいですが、「親の介護をしたのに財産を平等に分配するのは納得できない」と不平を言う子供も現れるでしょうから、遺産分割協議がこじれる可能性も当然あります。

こういったトラブルを避けるためには、一次相続の時点で二次相続時の遺産分割についても考えておくといいでしょう。

二次相続でのトラブルに備えて遺言を書いておくのもいいですね。ただし、一次相続時に二次相続分の遺言を書くことは出来ないですよ(書いても法的な拘束力はない)。

二次相続対策では相続税のシュミレーションが大事!

計算シミュレーションのイメージ

ここまでで、一次相続のことばかり考えていると、二次相続で多額の相続税を払わないといけなくなるかもしれない、ということが分かりましたね。

では、どうすればいいのでしょうか?

答えは簡単ですよ。

配偶者の税額軽減などの甘い汁に気を取られずに、一次相続の段階でしっかりと母と子供で財産を分ければ良いのです。

一次相続で配偶者の税額軽減を目一杯使ってしまうと、二次相続で相続税が多額に発生してしまい、トータルで見ると損をしていまいます。

どんな感じになるのか、以下で二次相続のシミュレーションをしてみましょう。

前提条件は以下の通り。

  • 父の遺産は2億5千万(非課税財産は無い)
  • 法定相続人は母親と長男、次男の3人
  • 母がもともと自分で持っていた財産は5,000万円

まず、一次相続で配偶者の税額軽減を目一杯使うケース(二次相続は法定相続割合で分割)。

一次相続
相続人相続財産相続税額
配偶者1億6千万円0円
長男4500万円715万円
次男4500万円715万円
小計2億5千万円1,430万円
二次相続
相続人相続財産相続税額
長男1億500万円1,820万円
次男1億500万円1,820万円
小計2億1千万円3,640万円
一次相続との合計税額5,070万円

次に、一次相続で法定相続割合で財産を分割したケース(二次相続は法定相続割合で分割)。

一次相続
相続人相続財産相続税額
配偶者1億2,500万円0円
長男6,250万円992.5万円
次男6,250万円992.5万円
小計2億5千万円1,985万円
二次相続
相続人相続財産相続税額
長男8,750万円1,295万円
次男8,750万円1,295万円
小計1億7,500万円2,590万円
一次相続との合計税額4,575万円

最後に、一次相続で母が財産を取得せずに子供が2人で半分ずつ取得したケース。

一次相続
相続人相続財産相続税額
配偶者0円0円
長男1億2,500万円1,985万円
次男1億2,500万円1,985万円
小計2億5千万円3,970万円
二次相続
相続人相続財産相続税額
長男2,500万円40万円
次男2,500万円40万円
小計5,000万円80万円
一次相続との合計税額4,050万円

どうですか?

二次相続まで考慮すると、配偶者の税額軽減は使わずに子供に一次相続ですべて相続させるのが一番相続税が安くなりましたね。

一次相続で配偶者の税額軽減を使えば目先の相続税は安くて済みますが、二次相続まで見据えた遺産分割をするのが最終的に少ない相続税となる良い例ですね。

しっかりと事前にシミュレーションをした上で一次相続の遺産分割をするようにしましょうね。

一次相続での相続税の負担額が大きくなるとどうしても不安になるかもしれないですが、二次相続までしっかりと見据えておけばトータルではお得だということに気づくはず!

なお、トータルの相続税が安くなるからと言って、配偶者の相続分を減らし過ぎてしまうと残された配偶者の今後の生活が困難になるケースもありますし、被相続人の意思と合わないこともあるでしょう。

そこは、各家庭の状況に応じて試算し配分を決めるようにしましょうね。

また、配偶者が相続する場合は、将来価値の上がりそうな財産を相続してしまうと、二次相続時に結局相続税が高くなってしまいます。

そこで、配偶者が相続するのであれば、価値の動かないものや価値が減っていくもの、例えば現預金や建物などを選ぶのがいいでしょう。

参考:このシミュレーションでは考慮していないですが、一次相続と二次相続との間が10年以内の場合、「相次相続控除」によって相続税を減らすことが出来ます。といっても、二次相続の発生時期は動かすことは出来ないので、「条件を満たせば使える」程度に覚えておくといいですよ。

一次相続での相続割合以外で出来る二次相続対策の方法

二次相続を考える上で最も重要なのは、上で紹介したように一次相続時の財産の取得割合をよく考えることです。

それだけでトータルの相続税の負担額は大きく変わるでしょう。

しかし、他にも二次相続を見据えた相続対策はありますよ。以下で見ていきましょう。

子供が自宅を相続する!~二世帯住宅にするのもあり!?~

2世帯住宅

一般家庭では、父親が亡くなった際に自宅不動産を相続するのは母親というケースが多いでしょう。

しかし、母親は配偶者の税額軽減があるので、小規模宅地等の特例を使わなくても相続税はゼロになる事が多いです。

そうすると、小規模宅地等の特例の意味があまり無いですよね・・・。

参考:相続税の総額は小規模宅地等の特例適用後の評価額をもとに計算されるので、子供が他の財産を相続する場合は相続税は一応下がっているので全く意味がないことはありません。

もし子供が親と同居していたのであれば、子供も自宅不動産について小規模宅地等の特例の適用が適用が可能です。

二次相続を見据えて、自宅不動産を先に子供に移しておくのも良いかもしれないですね。

二世帯住宅の設計

なお、子供が自宅を相続する場合、小規模宅地等の特例を使うには親と同居していたという条件を満たす必要があります。

しかし、子供がすでに大きくなっている場合は「もう結婚してるし両親と住むのはちょっと・・・。」という方もいるでしょう。

そんな方に朗報です。

実はこの「同居」という要件は、二世帯住宅でも認められるのです!

生前のうちに二世帯住宅に建て替えて同居しておけば、プライバシーを保ちつつ小規模宅地等の特例も使うことができるので、相続対策としては有効と言えるでしょう。

生命保険を活用する!

生命保険証券

一次相続で配偶者が財産を相続したのであれば、二次相続に備えて生命保険(一時払終身保険)に加入しておくのは有効ですよ。

上でもちらっと出てきましたが、死亡保険金は「500万円×法定相続人の数」までであれば受け取っても非課税です。

二次相続では基礎控除が一次相続よりも減ることになるので、死亡保険金の非課税枠を使って相続税を減らすのもありですね。

【図解あり】生命保険を使った相続税の節税対策の具体的事例【記事未了】

暦年贈与をする!

一次相続が終わり、配偶者の手元に財産がある場合は、二次相続が始まるまでの間に毎年子供や孫に贈与をして手元の財産を減らしていくという方法があります。

贈与税は年間の贈与額が110万円までであれば発生しないので、生きているうちに少しずつ財産を移転していおくと良いでしょう。

ただし、生前贈与をする場合はきちんと贈与契約書を作ったり、形だけの贈与だとダメなど色々注意点があります。

毎年110万円だとダメ?暦年贈与は正しくやらないと税金が増える!【記事未了】

二次相続が始まった日以前3年のうちに子供に贈与した財産については、相続財産としてカウントする必要がある点を忘れずに!

一次相続で引き継いだ現預金で不動産を購入する!

お金と家

相続税は時価ではなく相続税評価額に対しての課税です。

現金の場合は時価=相続税評価額なので、1億円持っていたら1億円として評価されるのですが、不動産は違います。

土地の場合は、路線価を使って相続税評価をするのですが、路線価は時価の約8割に設定されています。また、建物については、固定資産税評価額で相続税評価をするのですが、固定資産税評価額は時価の約7割です。

つまり、現金で持っているよりも不動産として持っている方が相続税評価額は下がるということですね。

しかも、その不動産を他人に賃貸している場合は、貸家や貸家建付地としてさらに評価額を引き下げることも可能です。

一次相続で母親が相続した現預金については、今後の生活に支障のない範囲内で不動産にしてしまうのも良いかもしれないですね。

不動産にすると固定資産税や不動産取得税などがかかったり、賃貸に出すと不動産所得に対して所得税等を払うことになる点は忘れずに!

最後に

チェックリスト

相続税では、一次相続よりも二次相続の方が大事だということについて見てきました。

一次相続では配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例といった相続税を大幅に減額できる特例が用意されているので、特例を駆使すれば多くのケースで相続税は発生しないでしょう。

しかし、目先のことばかり考えていると二次相続が発生したときに多額の相続税が発生して結果的に損をしていしまうことになりかねません。

一次相続でどのように財産を分けるのが一番オトクなのかをしっかりとシミュレーションして、二次相続を踏まえた相続対策をするようにしましょうね。

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