小規模宅地等の特例を利用する時に必要な添付書類をパターン別に紹介

投稿日
2020年05月18日
更新日
2020年05月18日
estate-valuation procedure return

小規模宅地の特例の必要書類

「小規模宅地等の特例の適用を受けようと思うけど、申告時になにか必要な添付書類はあるの?」

こんにちは、相続税を専門に取り扱っている税理士法人ファンウォール、税理士の山中です。

相続税の申告時には、戸籍謄本や遺産分割協議書など何かと添付資料の提出を求められます。

早めに集めよう!相続税申告に必要な添付書類リスト【記事未了】

中でも、一定の条件を満たした宅地の評価額を最大80%減額出来る「小規模宅地等の特例」は、本当にその宅地が特例の適用対象になっているのかを確認するために、相続税の申告書だけでなく、様々な添付書類の提出が必要です。

添付書類漏れがあると特例の適用が受けられなくなる可能性もあるので、何が必要なのかについてはしっかりと抑えておきたいですよね。

そこで、ここでは小規模宅地等の特例を利用する際に申告書とセットで提出が必要となる添付書類について、パターン別に紹介していきたいと思います。

では、一緒に見ていきましょう。

小規模宅地等の特例については、必要な添付書類が結構頻繁に変更されています。常に最新の情報を元に必要な添付書類を判断するようにしてくださいね。

【パターン別】相続税申告で小規模宅地等の特例適用時に添付が必要な書類は?

必要書類

小規模宅地等の特例は、被相続人が居住用不動産として使用していた場合や、賃貸不動産として使用していた場合、事業用(賃貸以外)に使っていた場合など、被相続人の土地の使用状況によって、控除割合や要件が異なります。

ここでは、パターン別に小規模宅地等の特例適用時に添付が必要となる書類について紹介していきますね。

他の特例の適用等により重複する添付書類がある場合は、特例ごとに同じ書類を用意する必要はありません。

【必須】どのパターンでも提出が必要となる共通の添付書類

まず最初に、小規模宅地等の特例を適用する場合、どのパターンの小規模宅地等の特例を利用するにせよ求められる「共通の添付書類」があります。

それがこちら。

  • 相続税の申告書の小規模宅地等に係る計算明細書「第11・11の2表の付表関連書類」
  • 相続人がわかる戸籍謄本(※1)or法定相続情報一覧図の写し
  • 遺言書or遺産分割協議書のコピー
  • 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの) ※2
  • (申告期限内に分割できない場合)申告期限後3年以内の分割見込み書

※1:相続の開始日以降10日以上経過した後で作成されたもの。
※2:相続人の中に外国籍の方がいる場合、印鑑証明書は無いのでサイン証明書等が必要となります。なお、分割協議書が無い場合は印鑑証明書の添付は不要です。

これらは小規模宅地の特例を適用する場合、必ず必要となるので忘れずに用意するようにしましょうね。

なお、小規模宅地等の特例に限った話ではないですが、平成28年1月からマイナンバー制度の運用が開始し、相続税の申告時にも相続人全員分のマイナンバーのわかる書類の提出が必要となっています。

マイナンバーカードがある場合はそのコピー(両面)でOKですし、通知カードか住民票の写しの場合は、別途運転免許証等の本人確認書類となる点を忘れずに。

参考:e-Taxで提出する場合は、マイナンバー関連書類の提出は不要です。

特定居住用宅地等に該当する場合

居住用不動産

被相続人が居住用に使っていた不動産を相続した場合、相続人はその土地を特定居住用宅地等として、330㎡を限度に宅地の評価額を8割減額することができます。

ただし、誰がその宅地を相続するか、あるいは被相続人が老人ホームに入っていた場合などによって必要となる書類は変わってくるので、以下でパターン別に解説していきます。

パターンは以下の通りです。

①宅地を取得したのが配偶者の場合

配偶者が特定居住用宅地等を取得した場合には、何ら条件はなく小規模宅地等の特例を利用できます。

従って、追加で必要となる書類はありません。

②宅地を取得したのが同居の親族だった場合

宅地を取得したのが被相続人と同居の親族だった場合、住民票の写し(相続開始日以降に作成されたもの)が必要となります。

これは、被相続人と特例の適用を受けようとする相続人が、一緒に住んでいたということを証明しなければならないからです。

ただし、特例の適用を受けようとする人がマイナンバーを持っている場合は、住民票の写しは提出しなくても構いません

これは、マイナンバー制度の運用開始により、税務署が申告者の住民票情報をネットワーク上で照会できるようになったからです。(参照元:確定申告時の添付資料(住民票)の省略 | 内閣府

注:従って、マイナンバーが付与されていない非居住者の方が小規模宅地等の特例を適用する場合には、当該者が自己の居住の用に供していることを証明する書類が必要になります。

③宅地を取得したのが別居親族だった場合(家なき子特例)

基本的に、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)は配偶者もしくは同居の親族が土地を相続する場合にしか使えません。

しかし、例外的に被相続人と同居していない親族でも特例の適用を受ける事ができます。それが、いわゆる「家なき子特例」です。

【改正あり】小規模宅地の「家なき子特例」の内容。

提案する女性

家なき子特例を受ける場合の添付書類は、相続開始日が平成30年3月31日以前かどうかによって以下のように異なります。
 

平成30年3月31日以前の相続で取得した宅地

  • 相続開始前3年以内の住所を明らかにする書類(住民票や戸籍の附票の写し) ※1
  • 相続開始前3年以内に居住していた住宅が、自分や自分の配偶者の所有する家屋以外の家屋であることを証明する書類 ※2

 

平成30年4月1日以降の相続で取得した宅地

  • 相続開始前3年以内の住所を明らかにする書類(住民票や戸籍の附票の写し) ※1
  • 相続開始前3年以内に居住していた家屋が、自分や自分の配偶者・三親等の親族又は特別の関係がある一定の法人の所有する家屋以外の家屋であることを証明する書類 ※2
  • 相続開始時点で住んでいた家屋を過去に所有していたことが無いことを証明する書類 ※2

※1:特例の適用を受ける人がマイナンバーのある人の場合、提出は不要です。
※2:賃貸契約書や、家屋の履歴事項全部証明書(登記簿)など。

家なき子特例を使うには、「被相続人と同居していないこと」や「相続開始3年前までに自分や配偶者・3親等内の親族・一定の関係を有する法人の持ち家に住んだことがないこと」などといった条件を満たすことが必要です。

その確認の為に、過去の住所の履歴(戸籍の附票)や住んでいた家の賃貸契約書などが必要になる、という訳ですね。

④被相続人が老人ホーム等に入居していた場合

平成26年1月以降は、被相続人が老人ホームに入居中に死亡した場合でも、相続人が被相続人の元々住んでいた自宅について、一定の条件はあるものの小規模宅地の特例等を受けることが出来るようになりました。

使えるの!?老人ホームに入居していた場合の小規模宅地の特例の取扱い。

その場合は、以下の添付書類が必要となりますよ。

  • 被相続人の戸籍の附票の写し(相続開始日以降に作成されたもの)
  • 介護保険の被保険者証or要介護・要支援・障害支援区分の認定書(コピー)
  • 施設に入所した際の契約書など、法適格施設であることの証明書(コピー)

なお、介護保険の被保険者証は施設入所時に施設に預けるケースがあります。この場合、相続発生後に施設から戻ってきますがすぐに自治体に返納しなければなりません。

コピーを取り忘れていると、後で「自己情報の開示請求書」に相続人全員の同意が必要となるなど手間がかかるので、施設に預ける前にコピーをとっておくようにしましょうね。

戸籍の附票では、老人ホーム等に入所した時点からの住所の異動履歴が確認できることが必要です。従って、老人ホームに入所してから本籍地を移転しているような場合、複数の戸籍の附票が必要になりますよ。

特定事業用宅地等に該当する場合

被相続人が事業用に使っていた土地を相続して、小規模宅地等の特例の適用を受ける場合、400㎡を限度に評価額を80%減額することができます。

小規模宅地等の特例を適用しようとする特定事業用宅地等が相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等である場合には、「共通添付書類」に加えて、

「その宅地等の上で事業のように供されている償却資産の金額の合計額がその宅地等の相続時の価額の15%以上であることを証明する書類」

を追加で提出する必要があります。

郵便局舎の敷地

一定の郵便局舎の敷地として使われている宅地等の場合は、総務大臣が交付した証明書が必要となりますよ(参照元:【措置法第69条の4((小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例))関係】|国税庁

具体的には「共通必要書類」に加えて

「相続開始の日以後5年以上郵便局舎として、日本郵便株式会社が引き続き借り受けることにより同日以後5年以上郵便局者の敷地の用に供する見込みである旨の証明書」が必要になります。

特定同族会社事業用宅地等に該当する場合

被相続人が個人で所有していた土地を、自分の経営する会社(同族会社)に貸し出していた場合、特定同族会社事業用宅地等として、400㎡までの部分について評価額を80%減額することができます。

この特定同族会社事業用宅地等に該当する場合は、「共通の添付書類」に加えて以下の添付書類の提出が必要です。

  • 相続開始時に効力を有する特例の適用対象となる法人の定款(コピー)
  • 法人の相続開始直前の発行株式株式総数や被相続人及びその親族等が所有していた株数等がわかる書類(株主名簿等) ※1

※1:特例の対象となる会社が証明したものに限ります。

特定同族会社事業用宅地等は、被相続人ではなく被相続人の経営する同族会社が要件を満たす必要があります。そこで、同族会社の事業目的等の記載されている定款や、出資者や出資金額のわかる株主名簿等の書類が必要となるという訳ですね。

貸付事業用宅地に該当する場合

賃貸用不動産

被相続人が土地を貸付していた場合、貸付事業用宅地として小規模宅地等の特例の適用を受ける事ができます。この場合、宅地の面積200㎡を上限に評価額を50%減額することができますよ。

参考:一定の法人に貸付け、その法人の貸付事業用に使用されている場合も含む。

従来、貸付事業用宅地については上で紹介した共通必要書類以外に必要な書類は特に無かったのですが、税制改正により一部変更がありました。

平成30年4月1日以降に相続等で取得した宅地等の場合、その土地が相続開始前3年以内に新たに被相続人の特定貸付事業に使われたものである場合、被相続人が相続開始の日までに3年を超えて特定貸付事業を行っていたことを明らかにする書類が必要となったのです。

特定貸付事業とは簡単に言うと「事業的規模で不動産の貸付を行っている場合」と考えてもらえれば結構です。詳細には「貸付事業用宅地等とは【記事未了】」をご参照下さい。

ちょっと分かりにくいと思うので、図解しましょう。

賃貸事業用の海星

従来、被相続人が亡くなる直前に賃貸不動産を購入して、亡くなった際に小規模宅地等の特例で評価額を減額し、その後すぐに売却するという荒技を使う納税者がいました。

そこで、このような荒技節税を封じるために税制改正し、相続開始前3年以内に新たに不動産賃貸業を始めたような場合は、特定貸付事業に該当しない限り、小規模宅地の特例の適用対象外にしたという訳ですね。

最後に

土地の相続税評価額を大幅に減額することのできる、小規模宅地等の特例について、申告時に必要となる添付書類の解説をしてきました。

実務的には、添付書類が漏れていると税務署から連絡があって追加で提出すれば事足りるケースが多いでしょう。しかし、そもそも添付書類を用意しておかないと特例の適用が出来るかどうかの正確な判断はできません。

小規模宅地等の特例の適用を受けようとする場合は、必ずここで紹介した添付書類を早めに集めるようにしましょうね。

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